『危ない橋を渡るイスラエルのパレスチナ対応』

2014年9月12日

 

  イスラエル政府と軍は、大分神経がまいっているのではないか、と思えてならない。どうもイスラエル政府や軍の行動が、計算づくではなく感情に流されているような、気がするからだ。

  つい最近までガザを攻撃し、2000人以上のパレスチナ人を殺害し、ガザの街を廃墟に変えたことにより、世界中から嫌われ敵視されているにもかかわらず、その攻撃の矛先を、今度はヨルダン川西岸地区に向けているからだ。毎日のようにヨルダン川西岸地区ではイスラエル軍(IDF)による住民逮捕が続いている。

  当然のこととして、これにパレスチナ人は抵抗し、投石やモロトフを使った反撃が行われている。その結果、IDF側にも負傷者が出ているようだが、負傷者の数はパレスチナ人の方が、多いのは当り前であろう。

  そうした中で、910日の水曜日に、エッサ・カトリという名の22歳の青年が、IDFのよって銃殺された。そのことは、ヨルダン川西岸地区住民の間に、に怒りを拡大させている。

  ハマースはガザ地区からの攻撃だけではなく、ヨルダン川西岸の住民からも、イスラエルに対する攻撃が起こることを期待している。そのためには、ヨルダン川西岸地区に住むハマースのメンバーに、IDFに対して挑発するよう働きかけているだろう。

  今回殺害されたエッサ・カトリ青年も、あるいはハマースのメンバーだったかもしれない。IDF側の説明によれば、彼は爆発物をIDF側に対して、投げようとしていたということだが、真偽のほどはわからない。

  イスラエル政府に声を大にして言いたいのは、感情的になるなということだ。特に今の時期は、ヨルダン川西岸地区の住民もガザ地区の住民も、相当に感情的になっていよう。したがって、ちょっとした事でイスラエルに対する武力闘争が、ガザ地区とヨルダン川地区から始まる、危険性があるのではないのか。

  イスラエルには悪いが、その結果、出るであろう大量のパレスチナ側の、死傷者に対する同情は、世界中から集まり、イスラエルとユダヤ人のイメージは、世界中でますます悪くなってしまおう。

  それはこれまで、イスラエルに対して好意的だった(?)、ヨーロッパ諸国やアメリカについても、言えるのではないか。例外的に、親イスラエルの人たちの心が変わらないのは、日本ぐらいかもしれない。それはイスラエル・パレスチナ問題に対する正確な情報を、彼等は持っていないからではないか。

  軍事的な勝利は必ずしも、最終的な勝利にはつながらないということは、今回のガザ戦争でイスラエル政府も、分かっているはずだ。30パーセントのイスラエル国民が『困難国にはもう住みたくない』と言い出しているのだから。