世界的に著名なジャーナリストである、エジプトのハサネイン・ヘイカル氏が、IS(イスラム国家=ISIL)について言及した。
彼によれば、ISILやISISと呼ばれ、現在はIS(イスラム国家)と呼ばれている組織は、西側が創り出したものだが、それが西側の敵になったということだ。それでアメリカのオバマ大統領は、あわててISに対する戦争を、始めようとしているというのだ。
エジプトはこのISに対するアメリカの戦争で、大きな期待を寄せられているが、慎重に検討するべきだということだ。しかし、この機会を逃すことも、危険だという判断を下している。エジプト国民は不満を抱いており、あらゆる権威を破壊したい、と望んでいることも事実だ。
イスラムの潮流が激しくなっているが、それは問題の解決には繋がらないし、世界の平和にも貢献しない。カリフ制なる言葉もトルコで登場したが、うまくいかないし、そのことをシーシ大統領は、良く分かっている。
世界はいまイスラム潮流に対する対応を、変えようとしている。あるいは、イスラムの潮流を政治的に利用しよう、と考えているのかも知れない。そうしたなかでは、イスラム・テロが増加していくだろう。
さてもう一人のアラブの巨人、ムスリム同胞団のカルダーウイ師は、どう考えているのであろうか。彼が長期留まっていたカタールは、ムスリム同胞団に対して、極めて協力的であったが、ここに来て、ムスリム同胞団員の国外追放を決定した。
それはアメリカのカタールに対する、圧力の結果だと思われる。彼らはトルコに移住しそうだが、それは今後、アメリカとトルコとの関係を、複雑にしていくだろうし、エジプトとの関係をも悪化させていこう。
カルダーウイ師は最初に、自分はISとは考えが違うと明言した上で、しかし、アメリカのISに対する戦争は支持しない。アメリカはイスラムではなく、自国の利益のために行動を起こすのだ、流血を支持しないと語っている。
カルダーウイ師はこれまで玉虫色の発現をし、時にはアメリカのご機嫌もとってきた人物だが、今回の発言も己保身そのものだ。ここに来てカタールが、ムスリム同胞団員の追放を決めたことで、動揺しているのかもしれない。
ヘイカル氏が語るように、当分はイスラム潮流が、激しさを維持するだろうが、それは長期化し定着するものではなかろう。トルコがISの石油密輸を止めれば、彼らは自己資金を失い、組織を拡大することも、活動を継続することも、出来なくなるだろう。