『イスラム原理主義の動向に不安増大のサウジ』

2014年8月20日

 

              

  サウジアラビアはワッハービ運動の本拠地であり、このワッハービ運動はイスラム原理主義のなかでも、最も強い傾向を持つ派閥であろう。そのサウジアアビアで最近、イスラム原理主義運動に対する、不安が高まっている。

  それはイラクで展開しているISILが、次のターゲットとしてサウジアラビアを、狙って言えるという情報が、飛び交っているためであろう。事実、ISILのスポークスマンは、サウジアラビアを名指しで、次の標的だと語っているのだ。

  ISILはイラクにおける当初の目的(マリキー首相を辞任させる)を達成したことから、アメリカによってイラクから追放される、危険性が高まっているためではないか。

  そうなると、イラクに隣接するサウジアアビアは、逃亡先として最有力候補であろう。しかも、サウジアラビアにはだいぶ前から、イスラム原理主義過激思想が存在し、その信奉者も少なくない。

  ISILがサウジアアビアに侵入すれば、協力者を見出すのに苦労はなかろう。これまで多数のサウジアラビア国民が、イスラム原理主義者として政府に対する攻撃を試み、多くが逮捕され受刑者となっているし、サウジアラビアを離れてイエメンに居住し、闘争を継続させている者も少なくないのだ。

こうした状況を踏まえ、サウジアラビアの宗教的最高権威者であるグランドムフテイのシェイク・アブドルアジーズ・アール・シェイク師が、『ISILやアルカーイダといった組織はイスラムの敵だ。』と語っている。

サウジアラビア各地のモスクで、説法をしているイマームのなかにも、イスラム原理主義を支援する者は少なくない。そのため、政府は3500人のイマームを不適当な人物として首にしている。

モスクでのイマームがどのような考えを、持っているのかということが、大きな影響を及ぼすためだ。過激思想を煽り、若者にジハードへの参加を呼びかければ、実際にそうする若者が出てくるし、イスラム運動に資金を出せと説法すれば、参会者から多額の寄付が集まるのだ。

それが戦場では、ロケット弾や、武器や弾薬に変わるのだ。だからこそ、イスラエルは湾岸各国に対して、厳しい警告を発し、『イスラム原理主義者への支援を、止めろ。』あと呼びかけているのだ。

そもそも、サウジアラビアはアルカーイダが誕生する以前の段階で、アフガニスタンのイスラム原理主義戦闘員を、支援していた国だ。そのサウジアラビアがいま、イスラム原理主義組織によって、恫喝されているということだ。ブーメラン現象が、既に始まったということか。