『エルドアン候補大勝利で終わったトルコ大統領選挙』

2014年8月12日

 

 810日トルコで初の国民による、大統領直接選挙が実施された。その結果は、明確なエルドアン候補の勝利となった。エルドアン候補の勝利は確実視されていたが、選挙結果が出てそれが、より鮮明になった感じがする。

 選挙の得票割合を各候補で挙げると、エルドアン候補が516パーセント、CHPが推薦したイフサニオール候補が385パーセント、クルドから立候補したデミルタシュ候補は98パーセントに留まった。

 各候補の得票地域を見てみると、明確にその区域が分かれている。エルドアン候補が得票したのは、アナトリアと呼ばれるトルコの中央部、アジア側の地域であり、イフサニオール候補が得票したのは、マルマラ海、エーゲ海、地中海に面した、海岸線の地域となっている。

 そして、デミルタシュ候補が得票したのは、トルコ東部のクルド人居住地域となっている。それが完全なかたちに色分けされていることが、トルコの今回の選挙の特長であろう。よそ者の影響は受けないという、トルコ社会の極めて保守的な雰囲気が、伝わって来そうだ。

 選挙には一部不正もあったようだが、総じてあまり大きな不正は無かった、と外国からのオブザーバーたちは、報告している。選挙前に1800万枚の投票用紙が、何故印刷されたのかが、疑惑を呼んだことがあるし、今回の投票が終わった段階で、選挙管理人の一人が自分の持っていた投票用紙に、エルドアン候補の欄にマークして投票しようとして捕まっている。

 選挙は初めから結果が分かっていた。大混乱の中にある中東地域の、トルコが今後直面する内外の問題は多かろう。そうした状況下では、強力なリーダーも必要であろう。その強力なリーダーの権限が、今回の選挙を経てより強いものになることは必定だ。それが今後トルコ社会を、警察国家にしていかないことを祈る。