『バハレーン怒る・そこまでやるかカタール』

2014年8月 8日

  アラビア湾岸のバハレーン政府が、隣国カタールに怒りを露わにしている。それはカタール政府がバハレーンの国民に、国籍を与えているからだ。何故カタールがバハレーンの国民に、国籍を与えていのか。そして、何故それがバハレーン政府をして、激怒させているのか、という疑問が沸いて来よう。

  実はバハレーンでは、反政府運動が始まって久しい。小さな島国の少ない人口の中で、大問題が起こっているのだ。その原因はシーア派国民とスンニー派国民との間に差別があるからだ、とシーア派国民は訴えている。

  バハレーンの王家はスンニー派であり、結果的にスンニー派国民を優遇している。それがシーア派国民には許せないということだ。このシーア派の怒りの抗議デモが始まると、真っ先に飛びついたのが、カタールのアルジャズイーラ・テレビだった。同テレビ局は、バハレーンの反政府デモを、誇大に宣伝している、とバハレーン政府は考えている。

デモに参加するリーダー役のバハレーン国民は、逮捕され、投獄され、拷問を受けて、死亡した者もいる。そうなると彼等は、国外に逃亡を試みることになる。その主な行き先が、カタールだったのだということだ。

それ以外にも、カタールが大ガス生産国であり、豊かなことから、石油の枯渇したバハレーンを捨てて、カタールの国籍を取った方が、豊かな生活ができるということを狙った、バハレーン人もいるのだ。

もちろん、バハレーンの国籍を捨てたか、逃亡したバハレーン人たちは、バハレーンの王制非難の発言をすることになるが、それはバハレーンの王家にとっては、不都合であると同時に、不愉快極まりないことであろう。

  もう一つの問題は少ない人口の、しかも、スンニー派とシーア派に別れているバハレーンにあっては、人口の減少はスンニー派とシーア派の、微妙なバランスを崩すことにもなるのだ。それは新たな社会問題を生み出す、原因になる。

  カタールは何故こうまでも、バハレーン問題を始めとする、アラブ問題に関与したがるのであろうか。手法は違うものの、かつてのリビアのカダフィ大佐と、同じではないか。あるいはそれよりも、たちが悪いかもしれない。

  バハレーンについて言えば、カタールはバハレーンがアメリカの第5艦隊の基地になっていることに、原因があるのかもしれない。つまり、湾岸諸国の中で、バハレーンは最も重要なアメリカの海軍基地になっているということだ。

  カタールもアメリカに対して、軍事基地の設置を認め、大規模な基地がいまでは存在するが、何とか湾岸地域で、完全にトップの座を、占めたいのかもしれない。