アラブの専門家がなぜISIL(ISイスラム国家)がシリアやイラクで猛威をふるい反とぉ拡大で来ているのかを分析した。そのなかには幾つもの具体的なポイントが指摘されている。
*ISILが勢力を拡大出来ている理由
1:歴史的な理由―イギリスフランスによって決められたサイクスピコ協定に基づく国境、これをアラブ人は拒否している。
2:石油資源-ISILによるシリア石油の支配と、モースルの中央銀行の金略奪により、資金的余裕が出来た。多数の外国からの戦闘員を抱え込める、資金的余裕が出来た。
3:サダム派の存在と協力-イッザト・イブラ―ヒーム(サダムのNO2)との協力体制が組めている。これにサダムの出身地テクリートの住民の一部が合流している。
4:宗派対立の存在-マリキー政府に対する不満、マリキーの独裁的な政治手法と、彼の近親者だけを、権力機構に取り入れている、ということに対する不満。
5:クルドの存在-部分的クルドとISILの協力関係、ISILは島嶼クルド自治政府のペシュメルガとは戦っていなかった。後でアメリカが介入して、戦闘するようになっているが。
6:地域的理由-トルコやサウジを始めとする地域の闘争の影響、地域の各国がイラクの強大化を恐れて潰しにかかっている。かつてサダムの時代に、サウジアラビアやトルコは、イラクの軍備強化に脅威を感じていた。
7:イランのイラクへの関与-サダム打倒とマリキー政権支持サダム体制が打倒された後、イラクにシーア派のマリキー政権が誕生すると、イランはこれを支持した。結果的に、イランのマリキー政権に対する、影響力が拡大した。
8:サウジアラビアの部族を通じた影響-イラクサウジアラビアにまたがる部族の存在、シャンマル族のような巨大な部族は部族院をイラク、シリア、サウジアラビアなどに擁しており、部族院の結束は国家以上に強力なものだ。この部族を使って、サウジアラビアはイラクに工作している。
9:ザンギ王国(ゼンギ-王朝)の存在-モースルを首都とするシリア・イラクにまたがる王朝が歴史的に存在した。
このアラブ専門家によれば、ISILのリーダーであるバグダーデイが、モースルのモスクで説教をし、自身をカリフと呼び、イスラム国家を設立すると言ったのは、ゼンギー王朝にちなんでではないかということだ。