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アメリカ軍によるイラク北部への猛爆を恐れ、IS(ISIL)のリーダーであるバグダーデイが、イラクからシリアに逃げ出した、という情報が伝わってきた。この情報を明かしたのは、クルド自治政府の広報部門責任者である、サイード・マムゾーニ氏だ。
彼が明かしたところによれば、モースルにいたISのリーダー・バグダーデイは、アメリカ軍による空爆を恐れ、数日前に30台の戦闘車両を連ねて、シリアに逃亡したというのだ。もちろん、シリアでもISは戦闘を展開することになろうことは必定だ。
最近、アメリカ軍の空爆支援を受け、クルドのペシュメルガ(軍隊)による、ISへの攻撃が激しくなり、多数のIS戦闘員が、重傷を負っているということだ。このため、ISはモースルのモスクなどで、地域住民に呼びかけ、献血を求めているということだ。
現在、クルド自治政府の軍事部門であるペシュメルガには、アメリカを始めとし、フランス、イタリア、イギリス、フィンランド、カナダなどから武器援助が届いているということだ。その武器は重火器から軽機関銃まで、いろいろの種類に及ぶということだ。
何故いまの時期に、バグダーデイはイラクからシリアに、移ったのであろうか。アメリカ軍による空爆を恐れたことも、その理由かも知れないが、他に考えられる理由は、マリキー首相がほぼ首相職から、辞任せざるをえなくなったからではないか。
つまり、ISIL(IS)がイラクに侵攻した目的が、ほぼ果たされたからだ、とも考えられる。だからいま、ISは、今度はシリアのアサド体制を打倒するのだ、ということで、シリアに移動して行った、というのが本当のところかも知れない。
その推測が正しければ、これから当分の間、シリアの戦闘は激化することになろう。それにアサド大統領側が、どれだけ防戦、反撃できるかが、これからのポイントであろう。
ただ、シリア国民も間でも、国民意識や国家意識が、今回の内乱のなかで、強まったのではないかと思われる。それがISやヌスラの攻撃に対して、十分に反撃できる精神的な強さを、もたらしているのではないかと思われる。また、ロシアもシリアに対する武器の供与を、必要に応じて行うことは確実であろう。
そうした一連の事情は、ISに支援をしてきた国々には、伝わっていたのだろう。だからこそトルコの防衛相が、早い時期のトルコ人人質釈放を、口にしたのかもしれない。