『アメリカ式で敗北するかハフタル将軍』

2014年7月31日

  現在リビアでは大きく分けて、二つの勢力が陣取り合戦を展開している。一方は、イスラム原理主義者と言われるグループであり、この中にはムスリム同胞団系や、他のいろいろな組織が含まれている。
  もう一つのグループは世俗派と言われるグループで、これには現在のリビア政府の、ほとんどの幹部たちが含まれ、それ以外には、リビア南部を拠点とするズインタンの部隊であり、この部隊はカダフィ大佐の子息、サイフルイスラームを軟禁している。そして、ハフタル将軍のリビア国民軍と呼ばれる部隊だ。
  ハフタル将軍はリビア革命が達成されて、しばらくすると姿をくらましていたが、過去2か月前ほどからであろうか、また姿を現していた。リビアの内乱の舞台に再度 現れ、リビア国民軍と名乗る戦闘部隊を結成し、勢力範囲を広げていた。
  つまり、現在のリビアの国内状況を説明すると、リビア政府、ズインタン部隊、ハフタル将軍率いるリビア国民軍がグループをなしており、他方にはイスラム原理主義グループがいるということだ。
  ズインタンの舞台はトリポリの空港を警備していたが、大分手痛い思いを最近している。他方、ハフタル将軍の率いるリビア国民軍も、当初は派手な活躍をしていたのだが、ここにきて負けが込んでいるようだ。その理由は戦闘機やヘリコプターが破壊されたことだ。
  ハフタル将軍のリビア国民軍が敗北したのは、航空兵器の使用が不可能になったためのようだ。ゲリラ戦や白兵戦で多くの戦闘機や戦闘ヘリコプターが破壊され、地上軍でしか対抗できなくなったことが原因のようだ。
  つまり、ハフタル将軍はアメリカ方式で空から敵を叩き、出来るだけ戦闘員の消耗を、抑えようとしたのかもしれない。そうはいっても空軍兵力は、最終的な勝利には結びつかず、結局のところ止めを刺すためには、地上戦闘による勝利であろう。
  ハフタル将軍が主に活躍していたのはリビアの東部だが、ここにはデルナやベイダなどの、保守イスラム原理主義者たちが少なくない。それを敵に回すとなると、相当の犠牲を覚悟しなければ、ならなかったのであろう。
  最近、ベンガジの基地での戦いで負けたハフタル将軍は、再度どこかに雲隠れしたらしい。あるいは彼の豪邸のある、アメリカのCIAの本部のある街に、行ったのかもしれない。