サウジアラビア政府は自国の株式市場を、外国人投資家にも完全に開放することを決定した、というニュースが伝わってきた。そのことは国際社会の中にあっては、取り立てて騒ぐべきことではないと思うのだが、そのことが今後に及ぼす影響には、危険が伴うであろう。
なぜならば、外国の投資家がサウジアラビアの、一定の企業の株を買い、値段を釣り上げていけば、サウジアラビア人投資家もそれに引っかかり、ますます株は暴騰していくことになろう。
そして、ある日突然外国の投資家は、それを売りさばき、巨額の利益を手に入れ、売り損ねたサウジアラビアの投資家たちは、膨大な損失を被るということだ。そして、その怒りはサウジアラビア政府に対して、向かうことになり、サウジアラビア国内は不安定化していくことになろう
サウジアラビア国民が政府に対して、不満を爆発させる状況になることは、反体制派組織や外国にとって、極めて好都合な状態ということになる。国内には種々の不満が鬱積しているのだが、爆発するにはまだ至っていないのだ。
もう一つの危険な情報は、いまイラクやシリアで大暴れしている、ISIL(イラクレバントイスラム国家組織)の元幹部の発言だ。この元幹部の名はシェイク・マーヘル・アブ・アベードでシリア国籍だ。彼はISILのトップのアブ・バクル・バグダーデイにも、2度会っていると語っている。
彼はシリアのモスクで説法師をしていたようだ。彼がアブ・バクル・バグダーデイと関係を断ったのは、アブ・バクル・バグダーデイがイラクの情報機関と、関係があることが分かったからだ、ということのようだ。
シェイク・マーヘル・アブ・アベードが言うには、ISILは戦闘員が不足しているが、そのうちサウジアラビア国籍の者が相当数いると語っている。そのことが、ISILの次のターゲットをサウジアラビアにさせるというのだ。
サウジアラビア国内には、ISILと同調する組織や地域があり、細胞が存在するということだ。例えば、アルクサイム、ダンマン、ホフーフといった街だ。これらの街の細胞と連絡し合えば、ISILは即座に戦闘を、サウジアラビア国内で開始できる、ということであろう。
このISILのサウジアラビア体制への、挑戦を成功させるか否かは、サウジアラビアの株式市場を破壊することから、始まるのかもしれない。社会に不満が充満した時、大衆は外部からの反体制の働きかけに対し、敏感に反応するからだ。反体制武力闘争の下ごしらえ、株式市場の大暴落、多くの投資家が被る巨額の損失、社会不満、戦闘の開始といった手順だ。