『中東地域ではブラック・ジョークが流行るのか』

2014年7月27日

 イスラエルのネタニヤフ首相は人道的な見地から24時間の停戦を受け入れると言った。1000人以上のパレスチナ人ガザ地区ではイスラエル側の攻撃で死んでいるし5000人を越える人たちが負傷を負っている。

ネタニヤフ首相の『人道的見地からの停戦受託』はまさにブラック・ジョークの最たるものであろう。ネタニヤフ首相が停戦をこの段階で受託したのにはいくつかの理由が考えられる。一つは、世界的なイスラエル非難が広がっており、友好国のアメリカでも、大規模な反イスラエル・デモが繰り広げられていることだ。これではイスラエルは完全に、世界から孤立しかねまい。

もう一つの理由は、イスラエル兵の犠牲が、多数に及んでいるということだ。イスラエル政府は兵士の犠牲について、公表を禁じているが、死者は兵士を含め、30人を超えたとは伝えているが、負傷者については全く公表していない。

パレスチナ側の発表では、イスラエル兵の犠牲者数は、90人を超えているということであり、過去のいずれの戦争よりも、多いのではないかと思われる。死傷者の実数を明かすことは、イスラエル国民のなかに、動揺を生み出す危険がある、と考えての報道管制であろう。

もう一つの理由はガザ戦争がイスラエルにとって限界に達しているのではないか。アイアン・ドームのミサイルが何発残っているのか、ハマース側のロケット弾を、全て迎撃できるだけの数が、残されているのか疑問だ。

しかも、アイアン・ドームのミサイルの命中精度は、2025パーセントと伝えられており、今後ハマース側が、もっと破壊力の強いロケット弾や、ミサイルを発射することになれば、テルアビブやエルサレムに、大きな被害が出ることも予想されよう。イスラエルのネタニヤフ首相は追い詰められているのであろう。それを糊塗するために、彼は停戦を人道的配慮として、受け止めたのであろう。

同様にトルコのエルドアン首相も、相当追い込まれた立場にあるようだ。裏ではしっかりイスラエルとの関係を、維持している国だけに、ガザ戦争についてしかるべき行動が取れないでいる。しかも、彼は大統領選挙を控え、スキャンダルで追い込まれてもいる。権力を失えば彼は逮捕され、裁判を受け重罪に処せられることは確実だ。

その彼が苦し紛れに、エジプトのシーシ大統領に噛み付いている。彼に言わせれば、『シーシ大統領は専制君主』だ、ということになるようだが、エルドアン首相の方が専制君主であることは、誰もが知っている。トルコでは汚職捜査に当たった警官や検察官が、次々と逮捕され弁護士裁判官も追放されている。