『イスラエル・ハマース短期停戦成立とその後』

2014年7月26日

 イスラエルとハマースとの間で12時間という、極めて短期間の停戦が成立した。このことについて、イスラエル側はガザの住民に対する、人道的な配慮からのものだとし、この期間にガザ住民は生活必需品を、手に入れろということのようだ。

 今回停戦に至ったのは、アメリカによるイスラエルとハマースに対する、圧力の結果であろうし、国連も何らかの貢献をした結果だと思われる。ただ、これから先に関しては、不明確な部分が多く、イスラエル側もハマース側も、この停戦を安心して受け入れるわけには、行かないだろう。

 イスラエル側は人道的な配慮というが、ハマース側はこの機会に、次に向けた作戦立案と、戦闘の準備を整えることは確実であろう。そのことに加え、外部からの武器の搬入も、進めることになろう。つまり、イスラエル側の人道的配慮に対して、ハマース側は非人道的配慮で、応えるだろうということだ。

 イスラエル側もそのことは十分承知しており、停戦期間にもハマース側の秘密トンネルの捜索と、破壊を進める意思を、明らかにしている。つまり、何時でも戦闘は再開するし、イスらエル軍による空爆も、再開しうるということだ。

 アメリカや国連は今回の短期停戦を機に、12週間程度の停戦が実現し、それが延長されることを期待している。その実現に向けて、アメリカと国連はアメとムチを、ハマースとイスラエル、なかでもハマースに対して、使うのではないか。

 いま戦争の裏側で語られているのは、ガザ地区に500億ドル投資して、観光などを開発し、ガザ住民に仕事を与えれば、ガザ住民の不満は解消され、イスラエルに対するテロが、止むだろうというものだ。その資金は述べるまでも無く、クウエイトやサウジアラビア、カタールなど湾岸緒国からの、寄付と投資が期待されているようだ。

 もっともらいいい話であり、皆が賛成しそうなのだが、その話は紙に描いた餅のようなもので、誰も食べることは出来まい。そもそもその手の話は、今までも幾つもあったはずだが、頓挫しているのだ。今回の提案をガザの住民が、素直に受け入れるとは思え無い。それは、既に864人以上のガザの住民が死亡し、5700人以上が負傷しているからだ。

 ガザのハマースは徹底抗戦を貫くことにより、イスラエルを世界から孤立させ、国家を財政破綻に追い込み、イスラエル国民の犠牲を増やすことによって、厭戦気分を拡大し、反政府の動きに追いやりたいのであろう。

 幸いにして、ヨルダン川西岸地区を治める、マハムード・アッバース議長は完全に支持を失い、ヨルダン川西岸地区でも1万人を超える、大規模な抵抗闘争が始まっている。ガザのハマースにしてみれば、ここは我慢のしどころであり、強気の攻勢を崩さない、ということではないのか。そのことは、長期停戦の可能性は、薄いということではないかということだ。