述べるまでも無く、沢山のパレスチナ人がガザで殺されている。その数は800人に及んでいるし、負傷者の数については数千人のレベルに達している。他方イスラエル側にも、死傷者が出ている。
ハマース側の発表によれば70人程度(イスラエル側は一般市民を加えて31人が死亡と発表)のイスラエル兵が死亡し、多数が負傷している、と言われている。
この惨状に、さすがにヨルダン川西岸の住民も、我慢が出来なくなったのであろう。ヨルダン川西岸地区住民と、東エルサレムのイスラエル国籍を有するパレスチナ人が、イスラエルに対するデモを繰り広げた。死者2人、負傷者は200人を超えたようだ。この西岸地区のデモには、一万人が参加した。
こうした状況は、パレスチナ人をして、ハマースに対する支持を高めている。7月19日に行った、ガザ地区とヨルダン川西岸地区での世論調査では、パレスチナが勝利すると答えた者が、60パーセントに達している。
即時停戦支持は51パーセント、64パーセントがハマース支持、マハムード・アッバース議長支持は15パーセントしかなかった。つまり、マハムード・アッバース議長は裏切り者であり、イスラエルやアメリカと通じている、とみているパレスチナ人が多いということだ。
もちろん、マハムード・アッバース議長が現在のガザ地区の惨状に、何もできないでいることに対する怒りもあろう。先にもお伝えしたように、彼の家族は全員ヨルダンに、既に逃避しているのだ。
今回のヨルダン川西岸地区のデモには、マハムード・アッバース議長がリーダーである、ファタハのメンバーも加わっていたということであり、見逃せないのは、デモの衝突の際に、ファタハのメンバーと思われるパレスチナ人が、実弾をイスラエル警察に対して、撃っているという点だ。
ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の間にも、銃器は大量に存在している。それがイスラエル人に対して使われないできたのは、マハムード・アッバース議長のコントロールが、効いていたからであろう。
しかし、現段階ではマハムード・アッバース議長の指導力は、大幅に低下してしまっている。そうなると、ヨルダン川西岸地区からもロケット弾が撃たれ、武力衝突が始る可能性もあろう。
パレスチナ人はこれから、全面戦争に突入していくのか。マハムード・アッバース議長の指導による、だらけたイスラエルとの妥協に従うのか、瀬戸際まで来ている。