『巨大なゲットーと化したイスラエル』

2014年7月23日

 

  第二次世界大戦に起こったホロコーストは、イスラエルや世界のユダヤ人が宣伝に努めたために、知らない人は少なかろう。そして、それ以前からユダヤ人たちは、ヨーロッパ各国で居住区域を限定され、そこからの出入りも、時間制限されていた時期がある。その区域はゲットーと呼ばれていた。

  いまユダヤ人たちは、自分たちの国家イスラエルを建設したのだが、再度ゲットー暮らしを強いられそうだ。ガザのハマースによるロケット攻撃の範囲が、飛躍的に拡大し、北の街ハイファやテルアビブにまで、届くようになったのだ。

そのため、テルアビブ市でも家屋が破壊され、負傷者が出ている。

  ハマースのロケット弾はテルアビブやエルサレム、ハイファ、アシュドッド、エシュコル、ビールガーネム、シェーバ、ニッザン、ニッザニムに届くようになったのだ。

  テルアビブに近い、ベングリオン空港の施設の一部も被害を、受け世界の航空会社はベングリオン空港への乗り入れを、見合わせるようになった。アメリカの航空局(FAA)は、ベングリオン空港への乗り入れを禁止した。結果的にデルタ航空やアメリカン航空は、同空港への乗り入れを中止している。

  ヨーロッパのヨーロッパ航空安全協会(EASA)も同様に、ベングリオン空港への乗り入れを取りやめるよう、各国の航空会社に勧告した。その結果、KLMオランダ航空、エアフランス航空、ルフトハンザ航空、スイス航空、オーストリア航空などは、既にベングリオン空港への乗り入れを取りやめた。

  日本人には実感が沸かないだろうが、いままで歴史の中で何度も幽閉されてきたユダヤ人にとっては、この空路が断たれたことは、大きなショックであろう。飛行機にさえ乗れば世界中のどこにでも逃げられる、と思っていたものが、乗り入れ禁止で不可能になったのだ。

  イスラエル国民はいま、ハマースが放つロケット弾よりも、このことにショックを受けているのではないか。アメリカのケリー国務長官は、今回の乗り入れ禁止について、『一時的なものであり、あくまでも安全のためだ。』とネタニヤフ首相に説明している。

  イスラエル国民の間には、戦況報告が制限されていること、戦死者捕虜の数が分からないこと、そして繰り返される危険から、『自分たちは平和が欲しい、それはガザの住民も同じだ。』『パレスチナ人たちがユダヤ人を嫌うように、我々もパレスチナ人の存在を望んでいない。』といった声が聞かれ始めている。

  ネタニヤフ首相の選択肢は限られており、極めて厳しいものであろう。戦果無く突然停戦することはできない。すべてのロケット弾攻撃を止めることも、不可能であろう。神はユダヤ人とパレスチナ人の、どちらに軍配を上げたいのか。