『ハマースの兵器は何時までもつのか』

2014年7月21日

 

 戦争とは数学の世界だ、それに精神的な部分は10パーセント程度、影響を及ぼすのだろうか。それを勘違いした戦争は全て敗北に帰している。精神的な部分は戦闘意欲であり、経戦意欲であろう。

 イスラエルとガザのハマースとの戦争でも、同じことが言えよう。イスラエルはいわゆる民主国家であり、人の命に対する評価が高い。そういう国は長期戦は苦手であろう。持てる最新の兵器を使って、一気に敵を倒さなくてはならない、という弱みがある。

 他方、ハマースの側は逆で、人の命に対する評価は低い。それどころか、戦闘で死んだ者は、天国に入れるという『ジハード信仰』がある。そのため、悲しみはしても、パレスチナ人たちは死ぬことを、イスラエル人よりも恐れていないのであろう。

 こうなると、ハマース側パレスチナ人が、何処まで戦えるかは、武器兵器の量によろう。もし、兵器が潤沢であれば、ハマース側は長期戦に打って出るであろう、短期間での停戦はありえまい。

 最近、このハマース側がどの程度兵器を、持っているのかに関する、興味深い報告が出ている。もちろん、それにはハマース側の宣伝工作の要素もあろうから、読者には良識を持ってお読みくださることを願う。

:ハマースの兵士の訓練は、正規の軍隊と同じレベルに達しており、レバノンのヘズブラと相違が無くなった。

:イッザデーン・カッサーム部隊は、7000人の戦闘員を抱えている。彼らは700ドルの月給を受け取っている。

:イッザデーン・カッサームに参加して、戦闘できる人数は25000人いる。他の部隊組織も同様だ。クドス部隊、PFLPDFLP、アブ・アリ・ムスタファ部隊。ムジャーヒデーン部隊などなどがある。

:ハマースは新兵器を開発した。バラク70G80,M-75,R-160,S-55,Ababil-1,といったミサイルなど、飛行機ではA1A,A1BmA1Cなどは偵察用攻撃用の飛行機だ。

Gradミサイルは高価なので輸入し難いが、それよりも性能のいいものを、自主製造している。

:兵器はエジプトがムスリム同胞団政権の時期に、大量に輸入した。ロシア製兵器に加え、各地から入ってきていた。

:ガザ・エジプト・トンネルの多くは閉鎖されたが、まだ使用可能なものが残っており、量は減ったが輸入出来ている。

:シリアの状況変化は反政府派に兵器を奪われないよう、シリア政府がレバノンのヘズブラを通じて、ハマースに兵器を送ってきた。

:イスラミック・ジハードは武器と資金を管理している。

:イスラミック・ジハードはイランから革命防衛隊員を、軍事指導員として受け入れている。

:ハマースの作戦はターゲットをたたくことより、イスラエルに脅威を与え警告することだ。

Ababil-1は敵を陥れる罠のドローンだ。イスラエル領土内60キロの飛行距離を有し、テルアビブやハイファにも到達できる。

:これに対応するために、イスラエルは巨額の軍事費を必要とする。民間補償だけで11400万ドル、軍事では10億シェケルかかる、とイスラエルのマアリブ紙は報じている。

:イスラエル政府はガザからのロケット攻撃で、被害を受けた400の訴訟を受け付けている。

 さてこのハマース側の報告を、どの程度信用するかは、個人差があろう。ただ大筋では、それほど事実とは異なっていないのではないか。戦時下において輸入が困難になると、イランの例に見るように、兵器の自主開発は進む。ハマースの場合も同様であろう。

 そうだとすれば、ハマースは長期戦を覚悟しているということであり、反対にイスラエルは国際世論の非難と、国内の厭戦気分、反戦の動きに悩まされ、最終的には不名誉な停戦を、強いられるかもしれない。それからイスラエルが逃れられるか否かは、ネタニヤフ首相の政治力にかかっていよう。