7月8日から始まった、イスラエルによるガザ地区への攻撃は、既に10日以上の歳月が経過している。そのことは、多数の死傷者が出ているということだ。一体、イスラエルとパレスチナ双方に、どれだけの犠牲者が出ているのであろうか。
これまで報じられているイスラエル側の死者数は、2、3人ということになっている。それは欧米やアラブの報道でも同じような数だ。したがって、信頼性が高いと言えそうだ。
しかし、イランのプレス・テレビのブログでは、15人のイスラエル兵が死亡したと報じている。もちろん、その情報元はハマースの戦闘部隊イッザッデーン・カッサーム部隊の発表によるものだ。
イッザッデーン・カッサーム部隊は、ガザとイスラエルとの国境にある、地下トンネルを通り、イスラエル南部のエシュコルを攻撃し、6人のイスラエル兵を殺害した、と発表している。
それ以外にも、イスラエル軍の車両を破壊したことに加え、デモナの近くでも1人を殺害、他の作戦でも7人を殺害した、と発表している。これらは多少の水増しはあるとしても、信頼すべき数に近いかも知れない。
イスラエル政府にしてみれば、イスラエル兵の死亡数を大きく報じることは、イスラエル兵の戦意の喪失に繋がるし、イスラエル国民も間には、厭戦気分が広がるため、数を少なく発表しているかもしれないからだ。
ハマース側はロバに爆弾を積み、イスラエル軍を攻撃したという報道もあったが、ハマース側の戦闘員がイスラエル軍の攻撃の前に、何も出来ないでいるとは思えない。
イスラエル軍が陸上戦闘を開始したということは、相当の犠牲を覚悟していたものと思われる。ハマース側にも地雷やロケット弾、銃撃と攻撃の手段は幾つもあるのだから。
ただハマース側が保有する、ロケット弾の数には限界がある。今までに、イスラエル軍の攻撃によって半数は破壊され、残りは既に使用した、とイスラエル軍は判断している。もちろん、ハマース側は補充が出来ているとは言っているが。
他方、ハマース側ガザの住民の間には、相当の犠牲が出ている。これまでに一般市民を加えて、340人以上が殺害され、1000人をはるかに超える数の負傷者が、出ているということだ。
パレスチナ側の発表はイスラエルとは異なり、死傷者の数は水増しされている、可能性があると思われる。それは犠牲者の数が多いほど、国際世論には影響を及ぼしうるからだ。実際に欧米各地では、イスラエル非難のデモが、起こっているのだ。
エジプトの停戦案が不十分だと非難するトルコやイランは、独自の停戦案を出していない。つまり、イランやトルコのエジプト非難は、ハマースへのリップ・サービスだけなのだ。エジプトは停戦案を変更する気は無いと言っている。
誰が新たな停戦案を出すのか。あるいはハマースのロケット弾が尽きたときにイスラエルとハマースとの戦闘は、終息に向かうのか。それまで国際社会はただ、ガザの悲惨な状況を、傍観するだけなのか。