トルコでは大統領選挙が8月半ばに実施されるが、それに先立って種々のことが起こっている。反エルドアンはとみなされている、ヒズメト支持の企業経営者たちに対する、締め付けが厳しくなってきている。
政府に言わせると、およそ10万社がヒズメト支持の企業であり、これらの企業はヒズメトに寄付を行っているというのだ。そして、これらの企業はマネー・ロンダリングをしているというのが、政府の企業に対する嫌疑だ。
企業経営のうえでは、中東や中央アジア地域では、マネー・ロンダリングは一部必要悪であろう。エルドアン首相ですら、イランとの関係でマネー・ロンダリング疑惑が、大きく取り上げられているのだ。
中東地域では裏金は必要であり、しかるべき相手に対して、高価な贈り物を贈ったり、賄賂を渡すことは、ごく当たり前なのだ。それ無しには、物事が動かなくなるのだ。
現在トルコ政府は複数の機関や警察などに対し、これらの企業の調査を進めさせている。その結果によっては、企業の多くが活動を停止させられるか、倒産に追い込まれよう。
しかし、大統領選挙で当選するために、このような企業いじめをしたら、トルコの経済はどうなるのであろうか。そうでなくとも、今トルコが置かれている国際経済環境には、危険な兆候が見えているのだ。
資金の正しい流れを回復するための措置、といえば聞こえがいい、大統領選挙に向けたものであり、その結果は、トルコの経済活動を減速させ、破壊してしまうかも知れない、危険なものではないのか。
もう一つの問題は、クルッカル地区のダム建設をめぐるものだ。ここにダムが出来れば、農業は成り立たなくなる、と農民たちが反対運動を始めた。市などに交渉に行っても、全く受け付けてくれないとこぼしている。
農地に張り付いて反対運動をすると、警察が大挙してきてそれを解散させているのだ。政府側は農民の口座に保証金を送ったというが、全く届いていないということだ。何故こんなことが起こるのだろうか。それは大型工事に伴う、賄賂が絡んでいるからではないのか。
8月の選挙では、エルドアン首相の当選が、確実だといわれている。エルドアン首相は50パーセント以上を得票し、選挙は2度めの決戦投票を、行わなくても済むだろう、と予想されている。対抗馬のイフサニオール氏は『選挙は1日で終わろう。』と語ったのはそのことであろう。