リビアでは先日、首都トリポリの空港がミリシアの襲撃を受け、大量の航空機が破壊された。そればかりではなく、管制塔や空港施設も、破壊されたようだ。この結果、リビアの対外関係活動には、大きな支障が出るということだ。
リビア政府の代表が、国連に参加するにも事欠くであろうし、外国から要人がリビアを訪問しようとしても、隣国チュニジアの空港を、使わなくてはなるまい。これではリビアが陸の孤島となったも、同然であろう。
リビアのトリポリ空港は、現在カダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏を捉えている、リビア南西部のズインタンの部隊だが、それが壊滅的な被害を受けた、ということであろう。
このことに加え、リビアではもっと悪い状況が起こるという、ニュースが流れ始めている。どちらかといえば、世俗派であるハフタル将軍のミリシアが、リビア全土で勢力を拡大していたが、これに対抗するミリシア・グループが、近くリビア国内で戦闘を始めるようだ。
このハフタル将軍のミリシア・グループに挑戦するのは、シリアやイラクでISILと共に戦ってきた、イスラム原理主義のメンバーで、彼らは帰国してハフタル将軍のミリシアと、戦うと宣言したのだ。
ハフタル将軍のミリシア・メンバーは、およそ6000人といわれているが、これにリビアの世俗派のミリシアや、部族グループを加えると、相当な数に上ろう。他方、シリアやイラクから帰還する、イスラム原理主義のミリシアは、数千人であろう。
これが真正面から戦うことになれば、双方に相当の犠牲者が出ることは、確かであろう。ハフタル将軍にしてみれば、まさに天王山の戦いであろうし、敵対するイラクやシリアから帰国するミリシアは、過激な戦闘を経験してきた戦闘員だ。
こうした流れの中で、リビア政府は全く打つ手が無い、ということを自覚している。このため、リビア政府は外国に対して、武力闘争を鎮圧してくれるように、呼びかけている。その相手は、アメリカでありヨーロッパ、ということになろう。
そうなれば、ハフタル将軍の側が、優位に立つということが予測されるが、実際にはどうなるか分からない。リビアに外国軍が入れば、そのあとは彼らの草刈場になるであろうし、外国軍を入れなければ、血で血を洗う激戦場になろう。いずれも不幸なのは一般市民だ。リビアに平和が訪れるのは、まだ先のようだ。