『 リビアエジプト国境がきな臭くなってきた』

2014年7月14日

 

  リビアとエジプトの国境地帯が、きな臭くなってきているようだ。それは、エジプトから逃亡したムスリム同胞団を始めとする、イスラム原理テロリストたちが、国境のリビア側に集結し始めた、という情報が流れ始めているからだ。

  現在のリビア国内状況は、カダフィ体制が打倒されて以来、無政府状態が続いている。各地域は部族単位やイデオロギー単位の、ミリシア・グループが支配しているのだ。

  リビア東部ではデルナ市がそうした、ミリシア・グループの一大拠点となっていると言われて久しい。それらの拠点から、最近国境に向けてミリシア部隊のメンバーが移動し、集結を始めているというのだ。

  エジプトのシーシ政権は国内の治安回復を、第一義としているだけに、このミリシア・グループの新たに動きに対して、敏感に反応している。エジプトの近代史を見れば、無理からぬことであろう。

  ナセル時代にはムスリム同胞団との、死闘が展開されてきたし、サダト時代にも、一時期は関係が改善されたものの、サダト政権末期には徹底した弾圧が、ムスリム同胞団に加えられ、サダト大統領はイスラム原理主義者によって、暗殺されているのだ。

  サダト大統領の後継者ムバーラク大統領の時代にも、ムスリム同胞団を始めとしたイスラム原理主義グループとの闘いが続き、結果的にムバーラク大統領は、ムスリム同胞団によって大統領の地位から、引きずり降ろされている。

  そしていま、エジプトの大統領の座に就いたシーシ氏は、モルシー大統領というムスリム同胞団の代表を引きずり降ろして、その地位に就いた人物だ。それだけに、シーシ大統領がムスリム同胞団を始めとする、イスラム原理主義グループのメンバーによって、暗殺される危険性は高い、と考えるべきであろう。

  現在国境地帯への、イスラム原理主義者グループの集結情報が流れる中で、エジプトの情報部員は、この地域の情報収集に躍起となっている。当然のことながら、地域の部族長と連絡を取り、情報を集めている。

  エジプトの情報部からは、イスラム原理主義グループメンバーの、集結の情報が流れてきているが、現地の人たちの一部からは、その限りではないという情報も流れてきている。

  リビアに集結していると言われている、イスラム原理主義グループのメンバーには、パレスチナ人、シリア人エジプト人そしてアフガニスタン人も、含まれているということだ。それらのテロリストがエジプトに潜入してくるのは容易なことだ。