『また出てきたアメリカ製のアラブ・リーダー』

2014年7月10日

 

 ウサーマ・ビンラーデンは少なくとも、当初はアメリカと親密な関係にあたっということが、多くの関係者によって明らかにされている。彼がアフガニスタンでソ連軍に対し、抵抗闘争を展開したのは、アメリカにとっては極めて、好都合なことだったからだ。

  従って、ウサーマ・ビンラーデン率いるムジャーヒデーン(聖戦の兵士)たちは、アメリカの特殊部隊などから、戦闘訓練を受けていたと言われている。もちろんそればかりではなく、戦いに必要な資金や武器も、アメリカから提供されていたのだ。

  リビアで始まったカダフィ体制打倒の革命闘争でも、最初の段階でハフタル将軍がアメリカから帰国して、戦闘に参加している。何度も書いたように、彼はカダフィ大佐によってチャドに送られ、敗北しアメリカに渡っていたのだ。

  ハフタル将軍はアメリカでは厚遇され、リビア救済戦線なる革命組織を結成してもいた。彼のアメリカの住宅はCIA本部に近いところにあり、かなりの豪邸だったとも伝えられている。

  そのハフタル将軍は、あまりにも過激な戦闘を行うので、リビアの革命政府は恐れをなし、彼を遠ざけていた。それが最近になって再度登場し、かなりの地域を支配下に置くようになっている。

  イラクでいま、猛スピードで支配地域を拡大しているISIL(イラクレバントイスラム国家組織)のリーダーもまた、なんとなくアメリカとのしかるべき関係を、想像させるものがある。

  その人物の名はアブーバクル・アル・バグダーデイだが、彼はバグダッドのイスラム大学で、博士号を取得した人物だということだ。その後、彼はモスクのイマームをしていたが、アメリカ軍が侵攻してくると、これに抵抗する運動を始めていたようだ。

  彼は2005年にアメリカ軍によって逮捕され、投獄されるのだが、2008年に交わされた、アメリカとイラクとの合意により、2010年に釈放されたようだ。その後、アメリカ軍は彼の首に1000万ドルの賞金を、懸けるのだが捕まらなかった。

  そしていま、そのアブーバクル・アル・バグダーデイはISILのリーダーとして再登場したわけだ。しかも彼はイスラム国家のカリフを名乗り始めてもいる。述べるまでもなく、カリフとは預言者ムハンマドの後継者、という意味なのだ。

  彼を支援する秘密会議が、ヨルダンのアンマンで開催されたことは、すでにご報告したが、このカリフを名乗るアブーバクル・アル・バグダーデイなる人物と、アメリカとの接点が無いと言えるだろうか。