『ギュルよお前もか・首相職をめぐる闘争か』

2014年7月 5日

 

 汚職でまみれるという感じになっている与党AKPの中で、ギュル大統領だけは無傷で来ていた。彼は一般的に与党の幹部のなかで、常識派であり清潔であるとみなされてきていた。

 したがって、エルドアン首相の汚職問題が大きくなるにつれ、ギュル大統領が離党して新党を結成する可能性や、ギュル大統領がエルドアン首相の決定する、違法と思える法案を却下することを、トルコのインテリ層は期待していた。

 しかし。ギュル大統領とエルドアン首相との関係は、余程強いのであろうか。そうしたトルコのインテリ層の期待が満たされることは、今日まで起こっていない。

 ここに来て、エルドアン首相が間も無くトルコの大統領選挙に、打って出ることになるのだが、その前に、既にエルドアン首相が大統領に当選するという読みから、巷とマスコミと政治家の間では、エルドアン新大統領によって、誰が首相に指名され、就任するのかが話題になっている。

 どうやら首相職には、二人の候補あるいは三人の候補が、噂されているようだ。それはアルンチ副首相、ダウトール外相、そしてギュル大統領のようだ。

 ギュル大統領が首相に就任すれば、首相は今後も一定の権限を維持できるであろう事から、エルドアン新大統領の暴走を、止められるだろうという期待がある。アルンチ副首相が就任した場合は。エルドアン新大統領との間で、軋轢が発生し、アルンチ首相が辞任することになる、可能性が高いのではないか。

 エルドアン首相はどうやらダウトール外相を首相に指名することを、考えているようだ。それはダウトール外相の政治方針(?)が、エルドアン首相と合致しているからであろう。巷ではダウトール外相を、エルドアンの腰巾着、と呼んでいるようではあるが。

 こうした複雑な状況の中で、ギュル大統領の古傷が穿り返され始めている。それはエルバカン氏が率いた、リファー党が与党であった頃の、ギュル大統領に関するものだ。党資金問題と公文書偽造の疑いだ。

 エルバカン氏は自宅軟禁2年半、他の党幹部は1年半の実刑の書せられていたがギュル氏はまぬがれていた。それは新与党の誕生と共に、重要な政府の職に就任したからだったようだ。

 今回この件が再浮上してきたのは、首相職をめぐってであろう。ギュル大統領を首相に就任させたくないということであろうか。それが原因であるとすれば、与党内部には軋轢が拡大していくことが、予測されるというっことではないのか。