エジプトでは新政権が思い切った、ムスリム同胞団対応を始めたようだ。以前にも500人を超す大量処刑判決が言い渡されたが、今度はムスリム同胞団幹部36人の、終身気鋭が言い渡された。
もちろん、この36人の終身刑者のなかには、ムスリム同胞団リーダーである、ムハンマド・バデーウ師も含まれている。これ以外に、幹部10人に対する死刑判決が、検討されているということらしい。元大統領のモルシー氏には、死刑判決が出ているようだ。
しかし、こうした判決が下っているなかで、ムスリム同胞団の抗議行動は、あまり激しくないようだ。時折、小型の爆弾を使ったテロが地下鉄、警察や軍の施設に対して起こっているが、大きな被害は出ていない。それは徹底した取締りが、行われているためであろう。
ムスリム同胞団に対する取り締まり強化は、それなりの成果を挙げているということだが、今後大衆による抗議デモが起こる、可能性が出てきている。それはガソリンの値上げだ。
これまでエジプトでは政府の補助金があり、ガソリンは安かったのだが、その結果として、製油所その他の石油施設に対するメンテナンスが、行えない状態にあった。加えて燃料不足から、停電も起こっていた。
そこで、今回はガソリン価格を引き上げて、製油施設のメンテナンスなどを行うというものだ。もちろんガソリンに対する政府補助金のカットは、IMFなどから歓迎されている。
しかし、今回のガソリンの値上げは、現在92オクタンのものが1リットル1・85エジプト・ポンドであるものが2・6エジプト・ポンドに値上がりすることになっており40パーセントの値上がりということだ。
80オクタンのガソリンは1リットル当たり、1・6エジプト・ポンド値上がりし、これは78パーセント値上げということになる、ディーゼル・オイルも1・8エジプト・ポンド値上げされ、63パーセントの値上げとなる。
この値上げ率は相当高いだけに、今後、各方面に影響が出てこよう。市民の交通手段である、バスやタクシー料金の値上げは述べるまでも無く、確実に乗車料金が値上がりしようし、それ以外に、ガソリンは野菜を始めとした、食料品の輸送にも使われるため、これらの値上がりも当然起ころう。
エジプトでは既に、インフレが始まっており、庶民の暮らしは厳しいものになっていこう。そのことから起こるであろう、大衆の不満活動を、どうシーシ大統領はコントロールしていくのか、不安が沸いてくる。