既に何度か書いたように、リビアには新たなスターが誕生した。彼の名はハリーファ・ハフタル氏だ。彼の率いるリビア国民軍は、破竹の勢いで勢力を、拡大していると言われている。
もう一人のスターは、前首相のアブドッラ―・アルシンニー氏だ。彼は現首相のマイテーク氏を認めない。首相の座からも降りないと息巻いている。リビア議会の決定によるマイテーク氏を、首相として認めないというのは、そのわけがあってのことだが、これらの混乱は、リビア国内に幾つもの勢力が、存在することにあるだろう。
マイテーク首相の後ろには、ムスリム同胞団が付いており、リビアの一大勢力となっている。彼らムスリム同胞団には組織力があり、侮れない存在だ。
こうした混乱がリビアで生まれているのは2011年にカダフィ大佐を打倒した後、新生リビアには堅固な政府機構が、誕生しえなかったからだ。カダフィ大佐のような剛腕をふるう、カリスマ的なリーダーが、いなかったということであろう。
いまの状況からリビアが抜け出すには、ハリーファ・ハフタル氏がどこまで頑張れるかに、かかっているのではないか。ムスリム同胞団を敵視していることから、ハリーファ・ハフタル氏には湾岸諸国の、サウジアラビアやクウエイト、アラブ首長国連邦から、資金的援助が期待できよう。
そして、エジプトとの国境地帯をコントロールできれば、エジプトのシーシ大統領との協力体制が組めよう。シーシ大統領にしてみれば、隣国であるリビアが、ムスリム同胞団の支配下に落ちることは、極めて危険なことだからだ。
加えて、カダフィ大佐の置き土産の、膨大な量の武器兵器が、エジプト国内やシナイ半島、そしてアラブ諸国に流出することは、中東地域全体を不安定化させることになる。だからこそ、リビア・エジプト国境のコントロールが、極めて重要なのだ。
ハリーファ・ハフタル氏にもう一つの、有利な条件が出来ているようだ。それは、アメリカとフランスの特殊部隊、そしてアルジェリアの特別部隊が、イスラム・マグレブ・アルカーイダ組織を打倒するために、リビアの南部に進攻してきていることだ。
どう考えても、このアメリカ・フランス・アルジェリアの特殊部隊は、ハリーファ・ハフタル氏のリビア国民軍と、連携して動くのではないかと思われる。彼らがリビアに進攻してくる前の下準備を、ハリーファ・ハフタル氏は引き受けていたのかもしれない。