『ブーメラン現象が欧米で起こる』

2014年5月31日

 

欧米諸国は外国で事を起こすことにより、自国が抱える問題を解決してきた。後進地域を攻撃し、植民地支配しそこから富を収奪してきていた。あるときにはそれの正当化に、キリスト教の普及を語り、あるときには現地人にモダンな文化を持ち込むのだ、と説明してきた。

 しかし、どう考えてもそれは後付けの理由であり、本心ではないことがばれている。その欧米諸国の考え方は、今でも変わっていないのではあるまいか。イラクに対しては、サッダーム・フセインという独裁者を打倒し、イラク国民に自由と人権をもたらす、と言っていたような気がする。

 しかし、アメリカ軍によるイラク攻撃から、10年以上が過ぎたいまなお、イラクでは毎日、何十人もの人たちが殺されている。アメリカ軍は撤退したのだから、いまイラクで何が起こっていようが、アメリカには責任はない、と言われればそうかもしれないが、現在の混乱状態を生み出した、張本人は一体誰なのか、という疑問が沸いてくる。

 リビアの場合も同様に、世界から独裁者とののしられた、カダフィ大佐が殺害された後、3年の歳月がすぎ去ろうとしているが、いまだに堅固な政府は出来上がっていない。リビア各地は多くのミリシア・グループの、強奪合戦の場となり、多数の国民が犠牲になっている。

 エジプトもシリアも同様であろう。その地獄から各国の政府が、国民を救出するには、強力な体制が必要ということは、誰にも分かろう。そのとき登場した新しいリーダーを、世界はまた新たな独裁者、と呼ぶのだろうか。

 問題はこうした仕掛けを作る場合、欧米諸国から戦闘に参加する者が、出てきているということだ。シリアの場合は数千人が欧米などから集まっているのではあるまいか。アメリカから来た若者は、特攻自爆攻撃をしているのだ。

 彼ら欧米人は現地人を殺害することに、満足を得ているとも、金のためだとも言われているが、イスラムの正義などは、取ってつけた理由であろう。過激な行動や薬を使うと、人はそのことによって得える、興奮を忘れられなくなる傾向がある。

 近い将来、シリア帰りの欧米人たちが、自国内で殺人を起こすことにはつながらないか。ベトナム戦争後に、アメリカで何が起こっていたのかを、振り返ってみる必要がありそうだ。これについて『因果応報』というつもりはないが、人間の弱さが確実に生み出す、現象であろう。