『エジプト大統領選挙投票の裏で』

2014年5月28日

 

  エジプトでは526日と27日に、大統領選挙の投票が行われたが、政府側が考えるよりも投票参加者の数が少ない事で、投票日を一日延長するという話まで出てきた。それに先駆けて、27日には投票時間を夜の10時まで、延長もしていた。

  今回の投票ではそれほど投票率は悪くないのだろうが、シーシ大統領候補としては、先のムスリム同胞団が立てたモルシー候補の選挙の時よりも、投票率を高くしたい、ということのようだ。

  ちなみに、モルシー氏が立候補した2012年の選挙では、投票率は52パーセントとなっている。今回の選挙では4000万人が投票に参加し、投票率を80パーセントにしたい、とシーシ候補は考えているようだ。しかし、投票2日目の段階での投票率は、37パーセントとなっている。

  投票率を高くするために、投票不参加者に対し、罰金を科するという案も出ている。そうすれば、罰金の合計金額が現状では、192億ドルに達する、ということのようだ

  投票率がモルシー候補時よりも低くなれば、当然のこととしてムスリム同胞団側は、モルシー氏に比べシーシ候補への支持が低かった、と騒ぎ立てることになろう。

  こうしたなかで、サッバーヒ候補が途中で候補を取り下げるのではないか、という推測が広がったが、それはなさそうだ。サッバーヒ候補は最後まで戦うと言っている。そのことは、今回の選挙を正当なものとしたい、ということであろう。

  もし、サッバーヒ候補が選挙結果が出る前の段階で、立候補を取りやめるようなことになれば、選挙は全体的に影を薄め、国民の間からは独裁者を選び出すだけの手続きだ、という非難も出よう。その意味でサッバーヒ候補の対応は、極めて愛国的なものなのではないだろうか。

  他方、法務協会の議長を務めるアハマド・ズインド氏は、有権者の70パーセント以上が、投票に参加することを期待すると語った。それと同時に、彼はムスリム同胞団が国民の一部から、IDカードを取り上げて、投票に参加出来ないようにしている、とも語っている。

  真偽のほどはわからないが、ありうる話ではあろう。ムスリム同胞団にしてみれば 何としてでもシーシ候補が、大統領になることを阻止したいし、たとえ誕生しても、不名誉な形にしたいと考えていよう。そこまでムスリム同胞団と、シーシ候補を含む現政府側との関係が、悪化し緊張しているということだ。