『情報相がリブニ法相を首に出来るか』

2014年5月26日

 

  パレスチナ自治政府のアッバース議長と、ハマースの幹部が話し合い、ハマースとファタハが統一政府を創る、という話が進んでいる。すでに新政府の首相が決まり、ハマースの新聞がヨルダン川西岸地区でも、売られることが決まっている。あとは実際の統治が進むか否かだ。

  このハマースとファタハの統一政府結成の動きに対し、ネタニヤフ首相はカンカンに怒っている。無理もなかろう。ハマースはいまだにイスラエル国家を認めないと語り、イスラエルの土地はパレスチナのものであり、最終的には全てのユダヤ人を、追放すると言っているのだ。

  加えて、ハマース参加の各種の組織が、イスラエルに対して、ロケット攻撃を行ってもいる。これではネタニヤフ首相は、ゆっくり眠ることもできまい。いつロケット弾がイスラエル人の上に、飛んで来るかわからないからだ。しかも最近になって、ハマースが所有するロケット弾の性能は、次第に良くなってきているのだから。

  このためネタニヤフ首相はハマースとファタハが、統一政府を結成すると言い出した時から、パレスチナ自治政府との和平交渉は中止だ、と言っているのだ。それ以外にも、イスラエル政府はパレスチナ自治政府に対する、締め付け策を講じていると言われている。

  こうしたこう着状態の中で、ツビ・リブニ法相がマハムード・アッバース議長と、ロンドンで515日に会談した。しかも、彼女は再度の会談が必要であり、しかるべき時期が来れば、会う用意があるとも語っている。

 このツビ・リブニ法相のマハムード・アッバース議長との、会談が予測された折に、ネタニヤフ首相は明確に会うな、と命令していた。それにもかかわらず、リブニ法相は会談を強行したのだ。

  これに腹を立てたのが、ユヴァル・ステイニツ情報相だった。彼はネタニヤフ首相が禁止している、パレスチナ自治政府の、しかも、マハムード・アッバース議長と会談することは、許せないと語り、そのことは、リブニ法相を首にする十分な理由になる、と言い始めている。

  何故リブニ法相はネタニヤフ首相の意向を無視して、マハムード・アッバース議長と強硬に、会談したのであろうか。それは、イスラエルパレスチナの和平交渉がとん挫することが、いかに危険な未来を開くか、という考えに基づいたものであろう。

  ガザばかりではなく、ヨルダン川西岸地区でも、ハマースの影響力が拡大すれば、確実に同地区からのイスラエル領土内への、テロ攻撃が始まろう。ロケット弾による攻撃に加え、特攻テロ作戦も予測されよう。

  リブニ法相はそれを懸念し、中東和平交渉は継続すべきだと考え、マハム-ド・アッバース議長との会談を、行ったものと考えられる。危機的な時期だからこそ対話が必要なのだ。それは正しい判断であろう。