トルコの若い友人たちに、昼飯をご馳走しようということで、新宿の喫茶店で待ち合わせた。彼らは何をおごってくれるのかという感じで、ニコニコして現れた。
昼飯前にコーヒーを飲みながら、最近トルコで起こった炭鉱爆発事件と、そのことで起こった、エルドアン首相と彼の顧問の、暴力事件が話題になった。この炭鉱はソマというところにあり、反エルドアン色の強い、イズミール市に近い場所だ。
エルドアン首相はソマの事故現場に乗り込んで、哀悼の意を示したかったのであろうが、彼を待ち受けていた大衆は、エルドアン首相の話など聞く気は無く、政府の責任を追及する、非難の叫び声をあげた。
このため怒り心頭に達したエルドアン首相は、近くにいた若者を殴り始めたというのだ。しかも一発だけではなく、連続して殴りつけ、エルドアン首相の警備員が止めきれず、ブレント・アルンチ副首相に止めてくれるよう、懇願したということだ。
エルドアン首相が暴力を振るう状況は、多くの取材に駆けつけたジャーナリストや一般市民が、映像に納めたため、瞬く間にトルコ国内と、世界中にばら撒かれた。
そればかりではなかった、エルドアン首相に付き添ってきた首相顧問も、ソマの現場にいた若者を警備員が取り押さえ、路上に横転したところを、何度も蹴飛ばしたのだ。その蹴り方はサッカーのボールでも蹴るかのような、力一杯のポーズだった。
若いトルコ人の友人は『あれじゃあどう贔屓目に見ても、エルドアン首相はまともな人間とは思えないですよ。一般市民が人を殴るのならともかく、エルドアン氏は一国の首相なんですから。トルコ人として恥ずかしいですよ。』と語っていた。
トルコでは近く大統領選挙が、行われる予定になっているが、エルドアン首相は『次は大統領に就任だ』と張り切っている。そうであるならなおさらのこと、彼は常識的な言動を、心がけるべきであろう。
ソマで起こった炭鉱爆破事件は、エルドアン首相が大統領に当選することを、駄目にしてしまう可能性が、あるのではないのか。誰が見ても、最近のエルドアン首相の言動は、常軌を逸しているとしか思えない。エルドアン首相の支持者たちも、そう感じているのではないのか。そして今回の暴力事件は、エルドアン首相の異常振りを、確信させたのではないか。