『トルコがクルド地区の石油を本格的に取り扱う』

2014年5月16日

 

 

   イラクは世界的にも大産油国として知られているが、イラクの産油地域は北部のクルド地域になっている。クルド地域に隣接するキルク―クは、著名な油田地帯だが、クルド自治政府はキルクークも、クルド地域だと主張している。

  現在、キルクークから産出される石油は、クルド自治政府が取り扱っており、既に国外に輸出されて久しい。このため、イラク中央政府はキルクークを始めとする、イラク北部で産出される石油の販売代金を、どうクルド自治政府と分割するか悩み、交渉を続けてきていた。

  クルド自治政府から産出される石油は、全てがトルコ経由で輸出されることになるが、トルコとクルド地区との間には、新しいパイプラインも完成しており、トルコの地中海側にある、ジェイハン港に送られている。

  トルコ政府はこれまで、イラク中央政府との関係から、クルド地域の石油について、言葉を濁してきていたのだが、ここにきてジェイハン港を、クルド地域産の石油を西側諸国に輸出する、ハブ港とすることを明らかにした。

  当然、このトルコの動きにイラク中央政府は激怒し、トルコ製品や企業のボイコットを宣言した。しかし、イラクの復興事業はトルコの企業に、大きく依存していることもあり、そう簡単にはボイコットを厳しく実行することは、できないのではないか。

  クルド地域からジェイハン港に送られる石油の量は、現時点では10万バーレル/日だが、近く30万バーレル/日から40万バーレル/日に増量すると言われている。この問題でイラク中央政府が、トルコやクルド自治政府に圧力をかけ過ぎれば、西側諸国を敵に回すことも、十分考えられよう。対応が難しい問題だ。