『サウジアアビアがイラン外相招待・米が邪魔』

2014年5月15日

 

  サウジアラビアはイランとの間で、多くの問題を抱えている。例えば、イラク対応やシリア、そしてバハレーン対応がそれだ。両国は全く逆の立場をとっているのだ。加えて、サウジアラビアにとってはイランの核開発が、将来への大きな不安要素となっている。

  これまでサウジアラビアは、アメリカによるイラン対応に、大きな期待を寄せていたのだが、どうもアメリカはイランに対しても、シリア問題でも明確な敵対的立場をとっていない。

  このためサウジアラビアは独自に、イランとの関係修復に乗り出そうとしている。その最初の表れは、ファイサル・サウジアラビア外相による、イランのザリーフ外相に対する、サウジアラビアへの招待であった。

  しかし、ファイサル外相がザリーフ外相を招待した、と言っているにもかかわらず、イラン側は招待状が届いていないと言っている。何がそこにはあるのだろうか。

  ファイサル外相は明確にイランとの間で、種々の問題について交渉したい、とも言っているし、来訪はいつでもいいとも語っている。サウジアラビアとイランが地域問題を話し合い、関係を正常化させることは、地域の安定と安全にとって大きなプラスとなる、と両国は考えているのだ。

  こうした流れの中で、アメリカのヘーゲル国防長官が、サウジアラビアを訪問し、湾岸のクウエイト、オマーン、カタール、バハレーン、アラブ首長国連邦国防相らとも、合同会議を持っている。

  ヘーゲル国防長官はサウジアラビア訪問の中で、湾岸諸国が連帯してイランに立ち向かうべきだ、と強調している。このヘーゲル国防長官の発言は、サウジアラビアによるイランとの関係修復に向けた動きとは、全く逆のものとなっているのだ。

  アメリカのヘーゲル国防長官の発言は、地域諸国間での関係改善に向けた試みを潰すものであり、考えようによってはサウジアラビアを始めとする、湾岸諸国とイランとの関係を悪化させ、緊張を高めるための発言ではないのか。

  確かに、サウジアラビアとイランとの関係が改善すれば、サウジアラビアはアメリカから大量の兵器を、売りつけられなくて済むことになるし、石油価格でも産油諸国にとって、有利な形にしていけるだろう。

  アメリカはいま、世界中で新たな火種を、ばらまいているのではないのか。その結果として、アメリカは弱体した各国に、影響力を及ぼしやすくなる、ということではないのか。