サウジアラビアのブレイダにある刑務所では、高等教育を受講希望する者に対して、勉学の機会を与えているというニュースを、アル・アラビーヤ・テレビが昨夜伝えていた。
刑務所で14名が大学卒業の資格を、取得することが出来たということだった。もちろん、卒業生はその後大学卒の資格を持って、社会に復帰していくことになる。日本の刑務所にはこうした対応が、あるのだろうか。
多分に日本ではこうしたことが話題に上った場合、その経費のことが最初に検討課題となるだろう。しかし、受刑者が大学を卒業し、誇りを持って社会に復帰していくとすれば、その事の方が国家としては、大きな利益になるのではなかろうか。
大学の先生たちはボランテアで、教えればいいだろう。もちろん、交通費ぐらいは政府が負担すればいいことだし、私学の場合は宣伝効果もあるだろうから、交通費ぐらいは大学でも負担することが、出来るのではないか。
教材はどうにでもなることだ。自分の本を出版している教員は、それを提供することが出来ようし、コンピューターは企業に呼びかければ、寄付してくれよう。また旧式で売れなくなったものもあるだろうから、どうでもなることだろう。企業に対して貸し出されているレンタル・ビデオは、いま2年ぐらい経つと回収されて、廃棄処分になっているではないか。
問題は受刑者に対して、高等教育の機会を与えようという、行政の意思があるのか、それに対して大学教員に教育をする気があるのか、大学はそれを支援する気があるのか、ということに尽きるのではないか。
日本では受刑者に対する、職業訓練がなされているようだが、高等教育も出所した人たちの新しい未来を、切り開くのではないだろうか。なかでも資格を取るような法学や経済学、翻訳などは能力さえあれば、彼らが社会復帰してから、仕事は幾らでもあるのではないだろうか。
確かこうした受刑者に対する対応は、アメリカの刑務所でも行われていたと記憶するが、日本でも始めてみてはどうだろうか。大学教育には通信教育制度もあるが、やはり直接教員が刑務所に行って指導した方が、効果は大きいと思われる。
日本の人口が少なくなり、労働力が不足するようになる、と言われているいま、このことは検討に値するのではないか。少年時代に間違った方向に進み、その後、高校や大学に行く機会を失った人たちの間には、もう一度勉強をしたいと思う人は少なくなかろう。