イランがアメリカを始めとする、西側諸国から制裁を受けて、すでに30年以上の歳月が経過している。そのなかで、イランはまるで時代に取り残された国に、なっているように思うかもしれないが、そうではないようだ。
これまで、イランの革命防衛隊は各種兵器の、自主開発について公表してきている。中長距離ミサイルが完成し、イスラエルを直接攻撃できる、と豪語しているし、海軍も高速艇を完成させた、あるいは戦闘艦を完成させた、と写真やビデオで紹介している。
そればかりではない。いま世界の軍事関係者のなかで、話題になっている無人機(ドローン)も、イランは自国で製造したと発表した。これはアメリカが使用していた無人機を、電波操作で破壊せずに着地させ、それを分解して構造を調べ、独自に造ったというのだ。
イラン製の無人機はほとんどアメリカ製と変わらないモデルが、やはり写真で公開されている。この場合、似通ったものを作ることはできるが、その機体の中に組み込まれる各種の機器が、どうなっているかということが、問題であろう。
以前、北朝鮮が製造したとされる、無人機が韓国で発見されたが、そのなかに積み込まれていた各種の機器は、初歩的なものであったと言われている。つまり、直接無人機から地上の映像が送られるのではなく、写真を撮り無人機が発信基地に戻った後で、それが取り出されるということだった。
イランの場合はどうなっているか分からないが、ある程度の機器は積まれているだろう。それは秋葉原などで部品を買えば、出来る部分が多くあるからだ。もちろんそれらの機器は兵器ではないので、持ち出しが可能ということになる。
日本で普通に売られているもので、少し工夫をすれば軍事目的で使える機器は少なくない。ビル内に使われている監視カメラと、それを電波にして送る装置は、皆一般に売られているのだ。
イランが制裁を受けたために、独自に開発しているのは、軍事関連品だけではない。一般の産業用の部品も設備も、イラン独自の技術で製造されるように、なってきている。
石油やガス関連施設の相当部分が、イラン独自の技術によって造られ、修理されるようになっている。もちろんそればかりではなく、核関連の設備もイランが独自に建設したものだ。
日本が制裁を受けた場合も、技術レベルは飛躍的に発展し、世界的に知られることになったゼロ戦が完成している。それに続きジェット・エンジンの戦闘機も、既に完成していたし、原爆もほぼ製造可能な段階に入っていた。つまり、制裁はその制裁を受ける国の技術レベルを、飛躍的に向上させる効果もあるということだ。