アラブの春革命を煽ったのは、カタールだったというのが、一般的なアラブ研究者の認識だ。カタールのアルジャズイーラ・テレビがチュニジア、リビア、エジプトなどで起こった、アラブの春革命の火付け役であり、扇動役を果たしていた。
シリア問題でも、カタールは資金や戦闘員を、シリアに送り込む工作を進めてきたし、いまだにそれは続いている。そして、それをアルジャズーラ・テレビを通じて、効果的に宣伝してもいるのだ。
そのカタールがサウジアラビアやアラブ首長国連邦、そしてクウエイトとの関係をこじらせて、対立関係を生み出している。その後、カタールは湾岸諸国との関係は回復したと言うが、どうもそうではないらしい。
カタールとエジプトとの関係も、未だに相当悪化したままになっている。述べるまでもなく、カタールは長期に渡って、エジプトムスリム同胞団の重鎮カルダーウイ師を、匿ってきていたからだ。
言ってみれば、アラブ諸国にとって禍の元凶であるカタールでは、最近になって宮廷内紛争が、起こり始めているようだ。カタールの宮廷内紛争を感じさせる発言をしたのは、現在のタミーム首長の叔父にあたる、シェイク・アブドルアジーズ殿下だ。
シェイク・アブドルアジーズ殿下が、現在のカタール政府と王室の内情を暴露した。彼の発言によれば、表向き首長になっているのはタミーム殿下だが、裏ではしっかりとハマド・ビン・ハリーファ殿下とハマド・ビン・ジャースム殿下が権力を握っているというのだ。
シェイク・アブドルアジーズ殿下の発言によれば、内務大臣は交通警察に対する、権限だけが与えられており、内務省の実権はハマド・ビン・ハリーファ殿下が実権を握っているということのようだ。
外交についてもアテイヤ外相ではなく、実験はハマド・ビン・ジャースム殿下が握っているということだ。つまり、タミーム首長の役割も同様で、単にマスコミの前で、外国から訪問した賓客の、迎えに出るだけだということだ。
そしてあい変わらず、強い影響力を、カタールの政治に与えているのは、イギリスでありイスラエルだというのだ。両国はカタールの資金を使い、カタールの国家の名を使い、湾岸アラブの名を使って、アラブ諸国破壊工作を、行っているということのようだ。
つまり、ハマド・ビン・ジャースム殿下が未だに、実権を握っており、彼がイギリスやイスラエルの意向に沿って、行動しているということだ。そこで問題は、一体何のためにタミーム首長の叔父である、シェイク・アブドルアジーズ殿下が、その宮廷内権力対立構造を、ばらす気になったのかということだ。
推測の域を出ないのだが、あえてそれを行えば、このシェイク・アブドルアジーズ殿下の後ろには、ある大国が控えており、この大国とイギリスやイスラエルの中東諸国に対する、思惑が異なってきたからではないのか。その大国の後ろ盾がなければこなければ、シェイク・アブドルアジーズ殿下は暗殺の明らかな対象になってしまおう。