『サウジアラビアで危険信号点滅』

2014年5月 7日

 

  アラブ諸国でテロ事件や内戦が起こっているために、湾岸諸国の状況があまり伝わってきていない。しかし、バハレーンは大分状況が、煮詰まってきているのではないか。つまり反政府運動が固まってきているということだ。

  加えて、最近になりサウジアラビアでは、過激化する国民が増えていることを懸念し、国内の一斉取り締まりを始めた。アルカーイダに関係する人物や、アルカーイダなどに寄付をする者が逮捕されている。

  そればかりではなく、イエメンやシリアのアルカーイダ関係組織と連携を持つ、サウジアラビア国内の過激派が、全国的な捜査で多数逮捕された。その数は62人に上り、そのなかの59人がサウジアラビア国籍を有する者だ、とサウジアラビア内務相が発表した。

  それ以外には、パレスチナ人、イエメン人、パキスタン人などのようだ。彼等はシリアのISIL(レバノンイラクイスラム国家組織)や、イエメンのアルカーイダと繋がる者たちだ。まだ捕まっていないが、逮捕者リストに載っているテロリストの数は、44人いるということだ。

  サウジアラビアでは2003年から2006年にかけて、国内の過激派によるアメリカ軍宿舎や、外人専用のコンパウンドが、襲撃されるという事件が起こっていたが、ここにきて、再度過激派の動きが、活発化したということであろう。

  問題は部族長や宗教学者の中に、過激イスラムを扇動する者たちがいるということだ。これでは政府がどう取り締まろうとしても、なかなかうまくいくまい。部族長が支援するのであれば、過激派は隠れ家に苦労することはないだろうし、宗教学者がジハードを煽るのであれば、たとえメンバーの何人かを逮捕しても、新しいジハーデストは後を絶つことはあるまい。

  まさにブーメラン現象が起こっているということであろうか。サウジアラビア政府が自国民の過激派を、シリアやイラクに追放することで、罪一等を許してきたのだが、彼等はシリアやイラクで多くの仲間を見出し、連携で作戦が行ない易くなったということだ。

  そうしたイスラム過激派の動きが活発化しているなかで、サウジアラビアの高官たちによる、汚職が目立ち始めているが、そのことはますます社会的な不満を募らせ、過激なイスラム運動に参加する者を増やそう。

  サウジアラビアはいま、極めて厳しい状況に、差し掛かっているということだろう。