ウクライナに居住するユダヤ人はいま、極めて危険な状況にあるようだ。ウクライナから逃げ出すべきか、あるいは危険を承知の上で留まるべきか、という選択を迫られている。
オデッサに住んでいるユダヤ人は、逃げ出す準備を始めている。このオデッサには現在、3万人のユダヤ人が居住しているが、ホロコースト以前に比べ、40パーセントに減ったということだ、とオデッサのユダヤ人は語っている。
オデッサでは貿易促進協会ビルがあるが、そこに立てこもっていたロシア派のメンバーが、反対派によって焼き殺されるという、悲惨な出来事が起こっている。この映像はインターネット上で、幾らでも確認できるが、ビルの火災から逃れようとして、3階から飛び降りる人の映像が見られるし、ビルの中では40人以上の人たちが、焼き殺されている。それが反ロシアのグループによって起こされたことは、日本では伝えられていないようだ。
ティクバ協会のラファエル・クルスカルという名のラビ(ユダヤ教の聖職者)の語るところによれば、金曜から始まった戦闘に巻き込まれ、何人かのユダヤ人が負傷している、ということのようだ。なお、このティクバ協会は孤児や老人の世話、学校運営、社会サービスなどをしている組織だ。
こうした状況から、ウクライナ各地のユダヤ人協会は、ウクライナ国内の安全な場所に移り住むことや、国外に脱出することを検討し、あらゆる選択が可能なように、既に準備を整えているということだ。
来週の週末には、ウクライナ国内のロシア派と反ロシア派の衝突が、激しさを増すと予測されている。ユダヤ人協会には30分毎に、ウクライナ各地の状況変化の報告が、届いているということだ。
確かにそうであろう。ウクライナの状況は今後悪化することはあっても、当分沈静化はすまい。そうした中では、常に少数派の人たちが、犠牲にされることになる。ウクライナのユダヤ人がいま、相当危険な状況にあるということを、実感できるに日本人は、どの程度いるのだろうか。
そもそも、ウクライナにユダヤ人が住んでいることを、知っている日本人が、どの程度いるのだろうか。ユダヤ人たちはいま、あのホロコーストが繰り返されるのではないか、という強い不安のなかにいるのだ。
いまウクライナで起こっていることは、一般に報じられているのとは、全く異なっている。一体誰がこのウクライナの不安定と、内紛を生み出したのかを、冷静に考えて欲しい。そのうえで日本政府には、公平な外交をして欲しい。人事では済まされない、極めて重大で危険な問題なのだから。