『アクサ・モスク・イマームのファトワ』

2014年5月 3日

 

東エルサレムにあるアクサ・モスクのイマームが、アラブ世界に対し、ジハードを呼びかけた。そのファトワ(宗教的裁定)はアルジャズイーラ・テレビを通じて、427日に放送されている。

 このイマームの名はラーイド・ダアーン氏というが、彼はイタリアのミラノで世界イスラム会議が、開催されているタイミングを狙って、ファトワを発したものと思われる。

つまり、このタイミングで、イスラム第三の聖地であるエルサレムの、しかもアクサ・モスクからファトワを発するということは、それなりの影響力がある、と判断したのであろう。

 イマームのラーイド・ダアーン氏は『アッラーは偉大だ、アメリカが破壊され、イギリスも破壊され、そしてフランスも破壊されろ。』と語っているということだ。そして『ガザでは若い戦士たちが育っており、彼らは誇るべき者たちだ。』とも賞賛している。

『いまパレスチナは朝を向かえ、勇敢な若者たちがやがてパレスチナの地を、解放しよう。』とも語っている。

 加えて、アラブ各国に対し、国名を一つ一つ挙げながら、パレスチナの占領地解放を、呼びかけている。それはイラク、チュニジア、エジプト、ヨルダン、マグレブ諸国、ヘジャーズの人たちに向けられたものだった。

ラーイド・ダアーン氏はパレスチナ占領地(イスラエル領土の併合されている)の、ハイファ、サファド、ジャッファ、リッダ、ベイト・シャンなどを、解放しろと呼びかけたのだ。

ジャッファには海という飾り言葉を沿え、『海のジャッファ:』と呼び、同じように『砂のハイファ』、『ナツメヤシのベイト・シャン』、『丘のリッダとラムレ』と呼んでいる。それは詩的な表現方法を使ったということであろうか。

そして、ラーイド・ダアーン氏はイスラムの歴史の故事から、次の言葉を引いてもいるのだ。『ユダヤ人よ、ハイバルの戦いを忘れてはいまいな。やがてムハンマドの軍隊がお前たち、ユダヤとイスラエルを滅ぼしに来よう。』 

このラーイド・ダアーン氏のファトワは、何を意味しているのであろうか。多分に、イスラエル国内で話題になってきている、テンプル・マウントにソロモンの神殿を再建することに、絡んでいるのではないだろうか。

そして、シリアの内戦で集まった、アラブ諸国や世界からの、ジハーデスト(イスラムの名を語るテロリスト)に対して、呼びかけているのではないだろうか。彼らジハーデスとはいま、イスラエルとシリアの境界に位置する、ゴラン高原にまで達しているのだ。

このラーイド・ダアーン氏の呼びかけが、シリアの国内にいる、ジハーデストたちを覚醒させたとき、状況は一変しよう。ジハーデストと称する者たちが戦うべきなのは、同じムスリムではなく、ユダヤ人でありイスラエルだ、ということになる可能性があるからだ。

もちろん、そのときはパレスチナの若者たちも、戦争に立ち上がることは、間違いあるまい。ハマースとパレスチナ自治政府が統一された後、イスラエル側はマハムード・アッバース議長には、和平を進める意思は無い、と判断してもいる。