『エルドアン首相の無軌道発言に米独が激怒』

2014年5月 1日

 

 ドイツのヨアヒム・ガウク大統領がトルコを訪問しエルドアン首相に批判の言葉を向けた。そのことにエルドアンは激怒し、トルコ訪問中にトルコの内政に干渉する発言を、止めるよう警告した。

 ヨアヒム・ガウク大統領はトルコ訪問中に、トルコの名門校である中東工業大学で講演し、エルドアン首相の政策を批判したことが、問題の始まりだった。エルドアン首相は『トルコは外部の邪魔を受け付けつけるほど肝要ではない。』と言い放ったのだ。

 このエルドアン首相の発言について、ドイツのミシェル・ロス国務大臣は『エルドアン首相の感情的な発言は、礼儀を欠くものだ。』と厳しく批判している。この結果、トルコのEU入りの話は、当分凍結されることになろう。ドイツはEUを代表する国家だからだ。

 エルドアン首相はアメリカとの間にも、問題ある発言をしている。それはアメリカが政敵であるギュレン氏をかくまっており、彼を使ってトルコの内政を、混乱させようと思っている、という内容の発言をしたからだ。

 加えて、トルコ国内が混乱し始めるきっかけとなった、ゲジ公園デモにもアメリカが関与していた(工作していた)、と発言したのだ。

 これに対して、アメリカ政府のハーフ女史は『世界の人々には、自分の意見を自由に述べる権利がある。そのこととアメリカとは、何の関係もないことだ。』と反論した。

 エルドアン首相に言わせれば、アメリカがギュレン氏をかくまっており、彼をそそのかして、トルコに混乱を作り出しているというのだが、見当はずれであろう。エルドアン首相はそればかりではなく、政敵であるギュレン氏をアメリカがトルコに引き渡すよう要求もしている。それがかなわなければ、ギュレン氏をアメリカから追放するよう、要求してもいる。

 しかし、ギュレン氏はアメリカの永住権を保証する、グリーン・カードを既に取得しており、特別な罪でも犯さない限り、アメリカの法律ではギュレン氏を追放することも、トルコ側に引き渡すことも、出来ないのだ。

 エルドアン氏はアゼルバイジャンに対しても、似たような要求を出している。それはギュレン氏の組織が開校した私学を、閉鎖させろというものだった。しかし、アゼルバイジャン大統領は当然のこととして、エルドアン首相の要求を断っている。

 何がエルドアン首相をこうまでも、無軌道な言動に走らせているのであろうか。述べるまでも無い、彼の収賄に絡んだ犯罪が完全に暴露され、裁判にかけられ、投獄されることを恐れているからであろう。