『明らかになってきたイスラエル・アラブ関係推進』

2014年4月18日

 

  以前から、イスラエルとサウジアラビアとの関係が進んでいる、という情報が流れてきていた。例えば、イスラエルがイランを攻撃する前提で、サウジアラビアの空軍基地の使用を持ちかけたのに対し、サウジアラビア政府が許可を出した、という話がだいぶ前から伝わっていた。

  カタールがイスラエルとの関係を持っていることも、アラブ首長国連邦なかでもドバイが、イスラエルと緊密な関係にあることも、事情通の間ではよく知られていたことだ。

  ここにきて、イスラエルがアラブの一部の国々との外交関係を、公式に持ちたいということを言い出し、その動きが本格的に始まっているようだ。そうした流れの中で、イスラエルのリーベルマン外相が、サウジアラビアやクウエイトを含む、幾つかのアラブ諸国と秘密の交渉を、始めていることを明かした。

  これは、イランがイスラエルと一部のアラブの国々にとって、危険な存在だという認識が、高まってきたことによろう。なかでも、サウジアラビアはイランに対し、特別の警戒心と敵対心を抱いている。

  イスラエルのリーベルマン外相は、近い将来には、イスラエルとアラブ諸国との秘密交渉が、秘密でも何でもない公開のものとなろうと語っている。

  この問題をイランのプレス・テレビで語ったハフサ・カラ・ムスタファ女史は(トルコ人だと思われるが)、彼女はまさにこの動きは『死のキス』だと語り、サウジアラビアにとっては、取り返しのつかないものになる、危険なものだと指摘している。

  彼女の考えでは、サウジアラビアなど湾岸諸国が、イランとの緊張関係を改善する方向に動く方が健全であり、世界のイスラム教国やムスリムからも、喜んで受け入れられるというのだ。

  このサウジアラビア政府の動きは、サウジアラビアの反政府派や、政府に批判的な国民の間からも、当然反発を招くことになろうし、政府非難の格好の口実となろうことは、誰にも予測できよう。

  イスラム教徒にとってユダヤ人(イスラエル)は、毛嫌いされるべき存在だ、という教えがあるし、過去のアラブ・イスラエル闘争の中では、イスラエルの建国を実現したシオニズム運動が、最大の敵として長い間、みなされてきていたのだ。

  サウジアラビアにしてみれば、イランという現実的な脅威に対抗するためには、敵であるイスラエルとですら手を握るという『背に腹は代えられない』という心理なのであろうか。