欧米の国別経済格付けを行っている、フィッチ、スタンダード&プアーズ、ムーデイ社が、こぞってトルコの今後の経済に、暗い予測を出している。これはトルコの経済の実態というよりも、西側先進諸国のエルドアン政権に対する、厳しい評価が反映しているのではないのか。
GDPの伸び率については、3・2パーセントの伸びが、2・5パーセントまで落ち込むという予測だ。ところが、トルコ政府の発表しているところでは、トルコの対外債務は、一ヶ月前の49・3億ドルから、今月には31・9億ドルに減少している。
ベンチマークも20主要物資については、9・83パーセントから、10・03パーセントまで回復している。
ムーデイズなどの判断によれば、トルコ国内の不安定要因から、外国からのトルコに対する投資は、減っていくことになり、資金繰りが大変になるというのだ。そのことは、そうでなくとも安くなっている、トル・コリラのレートが、もっと下がるということであろう。
このトルコに対する、経済予測のネガテイブな見方は、トルコのエルドアン首相の傲慢な手法に、一因があるようだ。汚職スキャンダル後の地方選挙でも、不正が行われたという不満が、トルコ各地から出てきている。
西側の経済格付け企業によれば、こうしたトルコの不安定な状況は、今後1年半ほど続くだろうと見ている。トルコでは今年8月に大統領選挙が行われ、来年6月には国会議員選挙が行われる、予定になっているからだ。
今回の地方選挙での不正や不満が、今年8月の大統領選挙や、来年6月の国会議員選挙にまで、影響を及ぼすということだ。今回の地方選挙での野党各党の敗北は、相当に不満を残したはずだ。
加えて、選挙で勝利したエルドアン首相は、汚職の証拠隠滅に、最大限の努力をすることになろうし、既に徹底的に政府の敵を潰すと息巻いている。そうなれば野党側も、否応無しに対抗せざるを得なくなろう。
それは今後1年半ほどの間、トルコ国内が緊張と混乱を、覚悟しなければならなくなるということであり、外国からのトルコに対する短期中期投資は、一瞬にして5~60億ドルの金を、引き出されてしまう危険性がある。
そうなれば、トルコは外貨不足に陥り、トルコの株や国債はジャンク、と言うレッテルが貼られることにもなりかねまい。西側諸国なかでもヨーロッパ諸国のトルコ嫌いが、ここに来て一気に表面化している、ということではないか。