『トルコ選挙に向け世俗派と保守派の連携』

2014年3月23日

 

 トルコの地方選挙は、今月の30日に実施されるが、トルコ国内では最後の1週間に向けて、新たな動きが始まっているようだ。

 世俗派の最大野党CHPと、イスラム保守派の連携が、生まれるかもしれない。トルコ第二の都市イスタンブール市の、市長選挙に立候補したサブル・エルバカン氏は、イスラム保守派の人たちも巻き込んで、AKPに挑戦するようだ。

 これまでは、イスラム保守派の人たちが、CHPの候補者を支援することは無かったのだが、サブル・エルバカン氏は時代が変わった、今は以前とは状況が異なると言っている。

 彼によれば、CHPの女性議員はスカーフをかむって、議会に参加しているというのだ。つまり、CHP はそうしたイスラム保守の主張することを、認めているということだ。

 サブル・エルバカン氏が言うには、イスラム保守派の女性が、何とか現在のAKP 体制を突き崩して欲しい、我々を救って欲しい、と訴えたということだ。ちなみに、サブル・エルバカン氏は以前、リファー党の党首であり、首相職を務めた、ネジメテイン・エルバカン氏の甥に当たる人物だ。

 サブル・エルバカン氏はいま、ミッリ・ギョルシュ(国家の方向性とでも訳せばいいのか?)という新しい運動を展開し始めているが、この運動はイスラムの価値を再評価し、実生活に生かすことを目的としている。

 彼は自分の叔父であるネジメテイン・エルバカン氏も、エチェビット氏の率いるDSPとの、連携を行っていたと語り、市長はいずれの党とも連絡を取り、政策を進めていくべきだと語っている。

 確かに、現在のカデル・イスタンブール市長は、イスタンブール市の一角である、ファーテイ地区の区長とは、不仲のため4年間も連絡を、取っていないということだ。これでは市政に影響が出るのは当然であろう。

 イスタンブールばかりではなく、ブルサ市でも同様の動きが始まっている。ここでもイスラム保守派と、CHP の連携が始まっているのだ。つまり、ここに来てトルコの国内では、イスラム保守派と世俗派の違いに関係なく、反エルドアン首相、反AKPの動きが、本格化してきたということであろう。

 サブル・エルバカン氏はエルドアン首相とAKPが、今度の選挙で敗北することは確実であり、エルドアン首相がテレビ・カメラの前で、泣き崩れるシーンが、見られるだろうとまで語っている。

 選挙までの最後の1週間が、どのような結果を生み出すのか、実に興味深い。エルドアン首相は反対派の動きを抑えるために、ツイッターの通信を禁止したが、それには盟友のギュル大統領でさえ反対している。AKPは仲間割れで敗北するのか、あるいは野党の追い上げで敗北するのか。いずれの結果が出るのか明らかになるまでには、残された時間は1週間だ。