『石油開発合意エジプトに朗報』

2014年3月21日

 

 以前から納得がいかなかった、エジプトの石油ガス埋蔵の問題が、やっと動き出すようだ。常識的に考えれば、エジプトの西に位置するリビアが産油国であり、トルコ、シリア、イスラエル、ガザの海底にはガスがあり、紅海を挟んだ対岸のサウジアラビアには石油があるのに、何故エジプトだけに無いのか、ということだった。

 それは多分に、エジプトが持つ軍事的底力を恐れて、資金的余裕を持たせない、という政治的な意図が働いていたからではないのか、と思ってきた。エジプトで石油やガス資源が開発され豊かになれば、エジプト政府は巨額の軍事投資が可能になり、たちまちにして軍事大国になるからだ。それはイスラエルにとっても欧米にとっても、歓迎できないことであったろう。

 しかし、時代が全ての状況を変化させ、エジプトでも本格的な石油ガス開発が始まるようだ。イギリスのB社、カナダのシー・ドラゴン社がエジプトとの間で、資源開発の合意を交わしたのだ。

 エジプト側からはイガス社(エジプト・ガス社)が対応するが、ナイル・デルタのダスーク地区で、石油開発のため3本試掘するようだ。

 BP社は地中海の海底油田地帯2箇所で、試掘を始めるようだ。BPは北マクス地区の開発に、3300万ドルを投資することになっているし、もう一箇所の北タネイン地区には、37000万ドルを投資することになった。

 他方、シー・ドラゴン社は3本の試掘に、1700万ドルを投入することで、エジプト側と合意している。

 エジプト政府にしてみれば、今回の外国企業による、石油ガス試掘への動きは、大歓迎であろう。今回の試掘地域だけではなく、その他の地域でも石油ガス資源の開発に、弾みがつこうというものだ。

 度重なる革命の中で、エジプトは経済的に相当ダメージを受けたが、ここに来て、湾岸諸国を始めとする、友好国からの投資が増え、外貨事情は大幅に改善されたし、株価も上昇している。

 近く行われる大統領選挙では、シーシ国防大臣が大統領に選ばれようが、これら全ては、エジプトの今後に希望を持たせる兆候ではないか。