突然、リビアのアリー・ゼイダーン首相が、リビアからヨーロッパに逃亡したようだ。逃亡と書いたのはそれなりに理由がある。彼の出国は禁じられていたのだが、アリー・ゼイダーン首相は小規模な、マイーテカ空軍基地からマルタに出国した。
このマイーテカ空軍基地の管理は、ズインタンのミリシアが担当しているということだが、ズインタンと言えばサイフルイスラームが、軟禁されている場所だ。そこには何らかの関係があるのかもしれない。
アリー・ゼイダーン首相が出国禁止になったのは、収賄と公金横領の疑いがある為だ、と説明されている。しかし、彼は首相の座から降ろされた後、警備が付かないために、リビアのイスラム・グループによる暗殺を恐れての、逃亡ということであるようだ。なお、出国禁止命令はアブドルカーデル・ラドワーン検察庁長官によって、出されていたようだ。
アリー・ゼイダーン氏の乗った飛行機が、マルタに着陸したのは、単なる給油目的であったようだが、彼はマルタのジョセフ・ムスカト首相と会談している。会談理由は、あくまでも二人が友人同士であり、政治的な意図は無い、とマルタ側は説明している。
マルタを出た後の、アリー・ゼイダーン氏の足取りは、ドイツに向かっているが、それは彼がカダフィ体制下で、1980年代にドイツに渡り、ドイツ国籍を取得していたためだ。
アリー・ゼイダーン氏が首相職を追われた後、臨時首相にアブドッラ―・シンニ―国防相が就任しているが、彼は臨時であって本当の実力者は、他に居ると言われている。
現段階でのリビアの本当の実力者は、国民議会のトップであるヌーリー・アブー・サフメイン氏のようだ。実はシルテ湾の北朝鮮のタンカーを、拿捕するように命じたのは、アリー・ゼイダーン首相ではなく彼だった、ということにようだ。
リビアの国軍は十分な数と装備を、持つに至っていないため、政府支持派のミリシアが、その不足分を埋めているが、ミリシアはヌーリー・アブー・サフメイン氏支持なのであろう。
今後のリビアの動向を考えると、アリー・ゼイダーン氏が懸念している通りかもしれない。彼は『今後イスラミストが力を持つようになり、彼らによってリビアは支配される危険がある。そうなれば国家の利益は、侵されることになろう。』と語っている。そのイスラミストとは、ムスリム同胞団のことであろう。