トルコの首相として君臨し、同国の経済を飛躍的に発展させた、大英雄の首相エルドアン氏が、魔が差したのであろうか、金に目がくらみ巨額のわいろを受け取り、それが世間の知るところとなっていまうめいている。
3月30日には地方選挙が予定されており、与党(AKP)は得票数を減らし、惨敗するだろうと予測されている。しかし、彼はマスコミに圧力をかけ、与党の勝利は確実だ、という記事を書かせている。
2011年に勝ち取った49・8%とまではいかなくとも、40パーセント以上あるいは、よければ45パーセントの票を獲得すると書かせている。40パーセントはエルドアン氏が次のポスト大統領選挙に参加できる支持率だと言われているが、野党サイドからは、多分30パーセントも取れないだろう、という予測が出ている。
エルドアン首相はマスコミに圧力をかけて嘘記事を書かせるばかりか、検察警察の幹部左遷によって賄賂事件をもみ消そうとし、最高裁判所の上に法律の播人を用意するよう法律を変えも下。
加えて、アメリカのオバマ大統領に電話をかけ、彼が政敵だと思っているギュレン氏を、アメリカから追放してくれるようねじ込んだ。これに対し、オバマ大統領は『貴方の言い分は分かった』といった返事をしたのだが、エルドアン首相はトルコのマスコミに対し、あたかもオバマ大統領が、ギュレン氏を追放する確約を与えたかのように伝えた。
そればかりか、本当の政敵であるはずの軍の幹部を、釈放してさえいる。軍がクーデターを起こす計画を立てていた、ということで獄中にあった、将軍クラスの軍のトップ・レベルの人たちだ。状況によっては、エルドアン首相が釈放を決めたことによって、軍はフリー・ハンドを得たことになるのだ。
加えて、エルドアン首相が行なった大ミステークは、せっかく退治したはずのエルゲネコン(シャドウ・ガバメント)と、連携をする方向に動き出したことだ。このエルゲネコンが、いかにひどい事をしてきたのかは、トルコ国民の誰もが知るところであり、エルゲネコンとの連帯は、エルドアン首相の政治生命を断つことになる、と考えるのが妥当であろう。
野党の側からはこうした狂気としか思えない、エルドアン首相の行動に対し、『権力の亡者』『狂気の首相』といった、揶揄の言葉が飛び出している。人間追いつめられると、自分が何をしているのか、分からなくなるもののようだ。エルドアン首相よ眼を覚ませ、と言いたいのだが、眼を覚ました時には、彼は獄中の人か、断頭台の人になっているかもしれない。