『次第に過激化するバハレーンの反政府運動』

2014年3月 4日

 

 バハレーンの首都マナマ市に近いダーイ村で、デモ隊と警察が衝突し、手製爆弾で3人の警官が死亡した。そのなかにはターレク・シェーヒ大尉も含まれていた。

 デモは昨年12月に逮捕され、先週刑務所で暴力を受けて死亡した、23歳の青年の墓参りの帰りに起こったものだった。スンニー派の王家に対し、シーア派が多数を占めるバハレーンでは、シーア派国民に対する差別が続いており、それを是正する要求のデモが、3年ほど前から続いていた。

 デモは当初は極めて平和的なものであったが、昨年末から今年に入り、次第に過激なものに変わりつつある。先月も1人の警察官が死亡しているが、この場合も爆弾による攻撃だった。

2デモが始まった2011年以来、これまでの警察の犠牲者の数は、13人にも及んでおり、民間人の犠牲者の数は、既に80人にも達しているということだから、バハレーンの状況は決して生易しいものではない、ということになろう。

 シーア派の反政府組織ウイファークは、爆弾テロを行っていない、と主張しているが、今回の場合は彼らを含む、反体制派がやったことは、ほぼ間違いなかろうと思われる。現在バハレーンには、6つの反政府組織があると言われているが、いままでのところ、そのいずれも犯行声明を出していないようだ。

 20011年から始まった、バハレーンのシーア派国民による抗議デモは、これまで内外の人士の働きかけもあり、何度となく政府側と反政府側との、話し合いがもたれてきた。

 遂には、バハレーンの皇太子がこの難しい交渉を、仕切るようになったが、何ら成果らしいものは出ていない。バハレーンの国王はスンニー派の少数派であり、現状では政府の閣僚も要人も、ほとんどがスニ―派によって、独占されている。

 もし、この段階でシーア派の国民の不満を受け入れ、バハレーン政府が妥協すれば、たちまちにしてスンニー派体制は打倒されてしまうかもしれない、という強い懸念を国王と王国政府は、抱いているのであろう。それがバハレーン政府に、ますます強硬な対応と姿勢を取らせ、これまでの間に平和的な抵抗運動がったものが、次第に暴力的なものに、変貌してきたということであろう。

 バハレーンのこうした変化は、次第にサウジアラビアにも波及していこうし、他の湾岸諸国にも少なからぬ影響を、及ぼしていくものと懸念される。アラブ首長国連邦では昨日、ムスリム同胞団メンバーのカタール人5人と、アラブ首長国連邦人3人が逮捕されている。