『実質解体に向かうGCC』

2014年3月19日

 

 日本では『お金持ち喧嘩せず』と言うが、アラブ湾岸諸国ではそうでもないようだ。一時期は、まさに一体だったアラブ湾岸諸国の間に亀裂が走り、修復が極めて困難になってきている。

 そのため、湾岸諸国会議【GCC】は実質的に、分裂した状態となっている。その第一の原因は、カタールの暴走にあるようだ。同国は湾岸諸国の中にあって、大量のガスを産出する国としてデビューし、たちまち金満国家になった。

 カタールの国内には巨大なアメリカ軍の基地があることから、カタールは対外的に、強気の姿勢を維持している。そして、この国が持つアルジャズイーラ・テレビは、アラブの春革命を煽り、アラブ諸国を不安定化させてきている。

 しかし、そうしたカタールの対外姿勢は、サウジアラビアを激怒させたようだ。第一には、サウジアラビアが危険視している、ムスリム同胞団に安全地帯を提供し、ムスリム同胞団の重鎮であるカルダーウイ師を、長期間滞在させアルジャズイーラ・テレビを通じ、彼にイスラム法の番組を提供している。

 そのことは、サウジアラビアにとっては、許せないことであろうし、カタールのエジプト現政府に対する非難も、同盟国であるサウジアラビアには、許しがたいことであろう。

 第二には、カタールのイランへの接近だ。カタールはサウジアラビアが地域で、最も警戒しているイランとの、関係改善に動いていることだ。カタールからはトップ・レベルの特使がイランのテヘランを訪問し、イランの実質的国家元首である、ハメネイ師と会談している。

 そこで問題になるのは、何故カタールがサウジアラビアや他の湾岸諸国にとって、不愉快な行動をとっているのか、ということだ。多分にアメリカの意向が、働いているのではないかと思われる。

 アメリカはムスリム同胞団を支えることにより、アラブ諸国に混乱を起こし、政権の弱体化を図っている、という推測がアラブ諸国で広がっていた。その先兵として、カタールはアルジャズイーラ・テレビを駆使し、革命を煽ってきたということだ。

 イランへの接近も、最近のアメリカの立場を擁護しているのではないかと思われる。カタールがアメリカの影のメッセンジャー役を、果たしているとも、十分に推測できるのではないのか。

 カタールに加え、オマーンもGCCの立場から離脱し、イランとの接近を図っている。イランとオマーンとの間では、相互にトップ・レベルの訪問が実現し、経済軍事面での協力拡大が進められている。

 オマーンとイランとの関係は、1970年代からのものであり、オマーン政府を支援したのは、イランであったことを考えると、オマーンのイランとの関係強化の動きは、ごく自然なものであるかもしれない。オマーンはイランとアメリカとの関係でも、仲介役を果たしている。

 湾岸諸国の結束が弱くなることは、アメリカにとって極めて、好都合なことであろう。アメリカは個別に交渉が出来、そこでは湾岸各国は弱い立場に、立たされることになるからだ。

 アメリカはいまターゲットにした国を分割し、統治する計画を進めているのではないか。しかも、その分割に当たっては、地下資源の多い地域を、分離独立させることにより、より支配が容易になるように、工作しているのではないだろうか。

 リビアは東西に分離した状態になっており、石油資源は東部に集中している。トルコの東部には石油ガス資源があると言われているが、この地域はクルド人が多数を占めている。

イラクのクルド地域も石油の、莫大な埋蔵がある地域である。サウジアラビアのアルカテイーフ地域も、サウジアラビアのほとんどの石油が、眠っている地域だ。これは単なる私の夢想であろうか?