『カルダーウイ発言でカタールUAE関係悪化』

2014年2月 3日

 

カルダーウイ師と言えば、エジプトの革命最終段階で解放広場の壇上に立ち、

広く知られるようになった人物だ。それ以前にはアメリカのイラク侵攻を前に、アメリカ支持の発言をしたことで、世界のムスリムが驚いたことがある。

 彼は60年にも及ぶ長きにわたって、カタールに住み着きムスリム同胞団活動を続けてきた人物だ。その彼の発言は世界イスラム学者会議議長でもあることから、少なからぬ影響をムスリム世界に及ぼしている。

 しかし、ここにきて彼の活動範囲は狭められるかもしれない。ムスリム同胞団のモルシー大統領政権が、エジプト軍によって打倒されたのち、カルダーウイ師がエジプトに大手を振って、入国することは不可能になった。

 カルダーウイ師にとって唯一の居住場所と思われる、カタールにとって不都合な発言を、彼が先月、カタールのドーハのモスクの金曜礼拝で行ったのだ。それはアラブ首長国連邦(UAE)を、真正面から攻撃する内容のものだった。

 カルダーウイ師は『アラブ首長国連邦政府はイスラム体制に反対の立場をとっている、アラブ首長国連邦はアラブ首長国連邦国民人エジプト人を30人投獄した。』と非難したのだ。

 このことに怒ったアラブ首長国連邦政府は、同国に駐在のファーリス・アルヌアイミ・カタール大使を呼び、厳重に抗議した。抗議は外務担当のアヌワル・カルカーシュ大臣によって抗議書簡が、カタール大使に手渡された。

 このことについて、カタール政府側は『カルダーウイ師はカタールの外交について公式な立場で語る資格はなく、カタール政府の見解は国営放送を通じて行われる。』と弁明している。

 確かに、カルダーウイ師の説法が放送されるのは、アルジャズイーラ・テレビであり国営放送ではない。しかし、アルジャズイーラ・テレビも私設の放送局ということになってはいるが、国営とあまり変わらないだろう。それどころか、

カタールのテレビ局としては、世界的にアルジャズイーラ・テレビの方が、認知度が高いだろう。

 さて、カルダーウイ師は自身の意思で、アラブ首長国連邦政府を非難したのか、あるいはカタール政府の意向を受けて、非難したのかという点については、識者たちはカタール政府の意思を受けてのものだと判断している。

 カルダーウイ師はカタール政府の意向を無視しては、そのような発言ができまいというのが、その判断の根拠だ。いずれが正しいかは別に、湾岸6カ国で結成している湾岸諸国会議(GCC)結成以来、初めて亀裂を生むものに、なってしまったようだ。 カルダーウイ師に対する処遇はどうなるのだろうか。