中東に関心のある人のほとんどが知っている、トーマス・フリードマンというジャーナリストがいる。彼の書く中東記事は、極めて正確なことで評価が高い。
そのトーマス・フリードマンがニューヨーク・タイムズ紙で、重要な見解を発表している。彼の説によれば、これまで何度となく語られてきた、第3インテファーダが既に始まっているというのだ。
インテファーダとは1987年だったと思うが、パレスチナ人たちが武器を持たずに、イスラエルの占領政策に抵抗する、と立ち上がった運動だ。それは当初穏健なものであったが、次第にエスカレートしていき、インテファーダを取り締まる、イスラエル軍側にも被害が出ている。
インテファーダは第2次まで続いたが、イスラエル側の弾圧により、その後途絶えていた。しかし、パレスチナ人の不満が消えたわけではなく、相変わらず続く占領と入植地の拡大の前に、逆に不満が高まっている。
その具体的な表れは、ガザ地区からのイスラエル領土内に発射される、ロケット攻撃であろう。イスラエルはこの場合も徹底した報復を行っているが、だからといってガザからのロケット攻撃が止んだわけではない。
今回トーマス・フリードマン氏が語るインテファーダとは、どのようなものなのであろうか。彼は第3インテファーダが、ガザやヨルダン川西岸地区という、パレスチナの地から起こっているだけではないと言うのだ。
今回のインテファーダは極めて穏健であり、巧妙なものだということだ。それはイスラエル製品のボイコットを主体としている。ヨルダン川西岸地区ではイスラエル製品の不買運動が、静かに進行しているようだ。
加えて、ヨーロッパ諸国でもイスラエル強引な、入植政策に対する反発から、入植地製品に対するボイコット運動が広がっている。それは特定の国家の方針によるというよりは、市民運動のレベルで広がっているようだ。
加えて、ヨーロッパの年金を運用する基金などが、イスラエルの銀行に対する投資を、再考する動きが出てきている。例えば、オランダの年金基金はイスラエルのバンク・ハポリアとの取引を、やめる方向で動いているし、スエーデンの銀行も入植活動の推移を、監視し始めている。
イスラエル政府はこうしたヨーロッパの動きを無視して、強引な入植活動を続けており、つい最近では、パレスチナ側が将来の首都と訴えている、東エルサレムでの558戸の住宅建設を許可している。こうしたイスラエルの強硬な対応は、ますます穏健なインテファーダを、国際的に拡大させて行くことになるのではないのか。