昨年の12月17日から始まった、トルコの実質的革命は、現段階に至って結論が見え始めてきた。あまりにも巨額御賄賂を取っていたエルドアン首相の犯罪が明るみになり、それを否定することが出来なくなったからだ。
エルドアン首相は検察の幹部を地方に左遷し、警察の幹部も同様にすることによって捜査のスピードを遅らせ、なおかつうやむやにしようと画策した。それだけでは足りず、捜査に前向きな裁判官の更迭や、マスコミへの弾圧も実施した。最近では野党の宣伝にまで、検閲の目を光らせるようになっている。
こうした流れのなかで、唯一の希望はギュル大統領が、エルドアン首相の犯罪を止めることができるか否かだったが、彼はエルドアン首相の進める裁判官検察官最高委員会(HSYK)なる物を用意し、法の上に法を置くシステムを考えた。
このHSYKがギュル大統領によって承認されれば、トルコの法律は機能しなくなるのだが、ギュル大統領は承認してしまった。これでは国民の怒りは収まるまい。
数日前、こうした希望の持てない流れのなかで、CHPの党首がエルドアン首相と彼の子息ビラールとの電話会談を国会で暴露した。12月17日の汚職捜査が進むなかで、エルドアン首相がビラール氏に、現金を隠せという指示をしている内容だ。
国会でこの電話対話が流され、テレビ各局はそれを一斉に放映した。一説によれば、このテレビ番組(国会中継)を見たトルコ国民の数は、2000万人にも上るということだ。何とその収賄の合計金額が、300億ユーロというのだから、想像を絶するものだ。
その後、トルコの主要6都市では、大規模な反政府デモが展開されている。述べるまでもなく、エルドアン首相の収賄と、エルドアン政権に対する辞任要求だ。イスタンブール、アンカラ、イズミールといった都市が、デモの起こっている都市だ。
トルコの左派系で著名なジャーナリストである、ジンギスチャン氏は『もし、私たちが民主国家に住んでいるのであれば、録音が明かされた段階で、エルドアン首相は辞任しているだろう。』とエルドアン批判発言をしている。
アラブのある新聞は、こうした状況を踏まえ、『エルドアンの終わり・だが如何に・そして何時』というタイトルの記事を掲載している。つまりエルドアン首相の辞任は、時間の問題だという判断のようだ。
これまでのいきさつからすれば、エルドアン首相はサウジアラビア政府に、温かく亡命を受け入れてもらえるだろう。その際に、トルコで貯めた膨大な賄賂の金を、持ち出せるのか否かだ。