ナセリスト党の代表で、次期大統領選挙に立候補を早々に宣言している、ハメデイン・サッバーヒ氏が不思議な発言をしている。それは『選挙になればムスリム同胞団は私にではなく、シーシ候補に投票するだろう。』というものだ。
ムスリム同胞団のモルシー政権を潰したのは、言うまでもなくエジプト軍であり、その国防大臣であるシーシ氏をムスリム同胞団が支援することは、常識では考えられないのだが。
今回の大統領選挙では、いろいろな不明な動きがある。例えば、ビブラーウイ内閣が突然解散したことも、不思議と言えば不思議だ。まるで責任を投げ出してしまったような形であり、ビブラーウイ首相の責任感が問われよう。
ビブラーウイ首相筋からは、現在のエジプトの政権を担当するのは、重責過ぎて、とても負いかねるということのようだ。それにしても、首相職からの辞任は、もっと内部で相談して決められそうなものだが。
彼は次の内閣が誕生するまでは、首相職を担当するようだが、それにしても唐突過ぎる。このことについて、エジプトのマスコミでは、シーシ大統領が選挙に立候補し、大統領に就任するためのものだった、という推測が流れている。
ビブラーウイ首相が辞任を発表すると、時間を開けずイブラヒム・メフラブ住宅相が新首相に指名され、組閣を始めている。すでにアーデル・ラブイブ開発相、ムハンマド・イブラヒム内相、ヘシャーム・ザアズーウ観光相、マハムード・アブ・ナスル教育相、ファフリ・アブドルヌール通総産業相などが内定したようだ。
勘ぐると、シーシ新大統領の下で、これからはイブラヒム・メフラブ首相が活躍する、その彼の指揮の下の閣僚は、これこれの人々であるということを宣伝したいのではないのか。
つまりシーシ大統領の下では敏腕の閣僚が勢ぞろいするということだ。そして閣僚の多くに、元の官僚が就任するということは、新政府は安定した政権となり、これまでの経験を生かせる、そして官僚をフルに使いこなせる、ということではないのか。
シーシ国防大臣が大統領に就任するとすれば、そろそろ国防大臣の職を辞さなければならない。立候補はその次ということになっていからだ。シーシ国防大臣が未だに、国防大臣のポストにいるのは『国民のなかにシーシ待望の盛り上がりを創るためだ。』と解説する人もいる。