数日前に、リビアでハフタル司令官が議会と政府に対し、クーデターを起こすという内容のビデオをテレビで流し、リビア国内が動揺していた。その後、ザイダーン首相はクーデターなど起きていない、国内は至って平穏だと語り、クーデターは発生していないことを確認している。
確かに、リビア国内ではそうした動きには至らなかった。しかし、リビアの主要な二つのミリシア組織が、国会の解散と早期の選挙実施を要求し、解散しなければ議員の生命を保証しないと脅した。
この二つのミリシアの脅しに屈服した形で議会は解散し、近く選挙が行われることになった。報道によればこの二つのミリシア・グループとはサーイカ・グループとカアカア・グループという名の組織のようだ。
報道によれば、サーイカ・グループもカアカア・グループも、よく訓練されており、装備も十分だということだ。したがって、リビア軍が対抗するようなことになれば、相当の犠牲と被害を、覚悟しなければならないということだ。
カアカア・グループもサーイカ・グループも、共にリビア南部を拠点としている。なかでも、カアカア・グループは南西部のズインタンに本部があるようだが、そのことはカダフィ大佐の子息、サイフルイスラームを捉えているグループと同じか、あるいは連携関係にあるのではないか、と言うことも出来よう。
サーイカ・グループやカアカア・グループが力を持っているのは、リビアの南部だけではないようだ。リビアの東部ベンガジを中心とする、キレナイカ地方でも影響力を持っている、と伝えられている。あるいは、ベンガジ側にあるミリシア・グループとは、連帯関係にあるのかもしれない。
こうした断片的な情報を整理してみると、現在のリビア政府はリビアの南部や東部では、あまり力を持っていないのではないかということだ。リビアでは革命以来混乱が続いているために、リビアを連邦化してしまえ、という声が欧米の一部から洩れている、とさえ伝えられている。
リビアの東部ベンガジでは、政府の要人や警察幹部が誘拐されたり、暗殺されるという事件が頻発していた。つい最近では、ベンガジ空港のスタッフが、3カ月以上にも渡って給料が遅配になっているためにストを起こし、飛行機が離発着できなくなっていた。これについては、警察や軍も同調する動きを見せたようだ。
勝手な推測を膨らませると、リビアではカダフィ時代への郷愁が、国民の間で広がっているのかもしれない。今回のクーデター話と、その後の二つのミリシア組織の動きは、それとの関連はないのだろうか。