リビアで新たな動きか?

2014年2月16日

 

リビアと周辺諸国の間では、最近、リビア軍によるクーデターが起こるのではないか、という憶測が飛び交っている。それは多分にエジプトの軍が昨年73日に起こした行動の、影響を受けたものであろう。

 リビア国内は国会が存在し、政府も存在してはいるのだが、各地域や部族の利害が衝突し、何も決められない状態が続いている。加えて、地域や部族のミリシアによる、石油関連施設への攻撃や占拠が起こり、リビア政府は石油の積み出しが、思うように行かなくなっている。

石油生産も大幅に低下し現在では46万バーレル/日程度、つまり、一時期の3分の1程度まで減産している。このため公務員に対する給与支払いにも、困る状態にまでリビア財政は悪化しているのだ。そうしたことが、国会の解散を求めるデモや、政府に対する批判のデモを、起こさせることになっている。

このような雰囲気のなかで、カダフィ体制下でチャドに軍司令官として派遣され、その後カダフィ大佐と袂を分かち、アメリカに渡り20年ほどバージニア州に滞在し、その後、リビアの反カダフィ革命に参加している。そのハフタル氏が、クーデターを思わせる発言を行った。彼は先週の金曜日に、軍がリビアの全権を掌握すると語ったのだ。

しかし、リビア軍筋は軍が権力を奪取するような、動きは無いと否定しているし、アリー・ザイダーン首相もそのような動きは無いと否定している。ハフタル氏の声明は彼の発言のビデオがオンラインで流されたものだ。

多分にエジプトの軍の例を見て、影響を受けたのではないか、と言われているが、ハフタル氏は革命の後、大統領に就任するのではないか、という噂もあったが、シーシ国防相とは異なり、軍の参謀長にも就任していないし、元帥にも就任していない。

ハフタル氏はビデオのなかで、全ての派閥と話し合い、リビア再建のロード・マップを作成すべきだと語っている。

もちろん、アリー・ザイダーン首相は軍にクーデターを起こすような動きは無いし、政府は正常に機能している。ハフタル氏には何の権限も無い、と全面的にハフタル氏の発言を否定している。

それではハフタル氏は何のために、今回の発言をしたのであろうか。彼がクーデターを想起せる発言をしたことは、彼にとっては危険極まりないことであろう。それにもかかわらず語ったということは、何がしかの理由があろう。

考えられることは、ハフタル氏が20年もアメリカにいる間に、アメリカとの強い関係を、構築しているのではないかということだ。そして、リビア国内が混乱の極みに達したいま、救国の英雄として立ち上がるチャンス、と考えたのではないか。

 もちろん、その裏にはアメリカの意向と、支援が約束されているのではないかと思われる。カダフィ大佐の支持者がリビア南部で動き出しており、カダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏は、リビア南西部の街ズインタンで健在だ。今後、リビア国内で何らかの変革が起こる、と考えても不思議はあるまい。