今朝のインターネット上で目立つ記事は、中東地域について言えば、ロシアのプーチン大統領がエジプトのシーシ国防大臣に対し、大統領選挙に立候補することを支援する、と発言したことだ。
プーチン大統領は『貴方が国防大臣であることは分かっているが、大統領選挙に立候補することを確信する。』と語り、加えて『貴方が大統領選挙に立候補することを私もロシア国民も期待する。』と語ったことだ。
これはエジプトのシーシ国防大臣が、大統領就任前の訪問(!!)として、計画されたものであり、外務大臣が同行している。ロシアとエジプトとの間では、20億ドルの兵器の取引がほぼ固まっている。その代金はサウジアラビアが全額負担するということが、1月の段階から事情通の間では語られていた。
そのことは述べるまでもなく、今後のロシア・エジプト関係の躍進を、予測させるし、それに反し、エジプトとアメリカとの関係が疎遠になっていくことを、推測させるものだ。
そして、このロシアとエジプトとの兵器取引で、サウジアラビアが資金面を担当するということは、サウジアラビアとロシアとの関係も、強化されていくことを予測させよう。
当然のことながら、こうしたアラブ諸国の動きは、オバマ大統領にとっては、不都合極まりないものであろう。資金面で苦境にあるオバマ大統領は、何とかサウジアラビアから金を引き出したいとも考えており、現在強硬にサウジアラビア訪問を、実現しようと画策している。
そうした矢先に、ロシアのプーチン大統領がエジプトのシーシ国防大臣を称賛し、彼の大統領就任を激励する発言をしたことを、快く思ってはいまい。このため、オバマ大統領はプーチン発言を『ロシアにもアメリカにも、エジプトの大統領を決める権利は無い。』と語り反発している。
しかし、どう見てもこの発言は泣きごとにしか、聞こえないのではないか。アメリカはキャンプ・デービッド合意の折に、エジプトに対し毎年、15億ドル程度の援助を約束していたが、モルシー体制が打倒されて以来、エジプトに対する援助を実行していない。
これではエジプトもアメリカの言いなりにはなるまい。オバマ大統領はサウジアラビアに接近しようとしているが、他方でアメリカの政府高官はエジプトとの関係が重要である、ということを力説してもいる。
アメリカの中東外交は今、ほとんど機能しなくなっているのではないか。大衆レベルでも、アメリカの悪口は言っても、称賛する者はいないのが現実だ。